建設イメージ写真はイメージです Photo:PIXTA 
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2026」の「キーワードで読み解く!注目21業界『最新トレンド』」を転載したものです。

就職活動で大切な業界研究は難しいことではない。自分の将来を考える「地図づくり」のようなものだ。業界環境を知り、社会の仕組みを理解することが、納得のいく就職への第一歩になる。第3回は建設・不動産と物流業界を取り上げる。(Diamond WEEKLY事業部 編集チーム)

【建設・不動産】
大きな構造変化の波が押し寄せている

 建設業界は、「脱請負(脱受注産業)」がキーワードとなっている。従来の価格競争型の請負構造では、労働環境の改善などが進みづらいといわれていることも一因だろう。

 ゼネコン各社は請負以外の事業領域を模索し、自社主導の開発やデベロッパー化、再生可能エネルギー、まちづくり案件などへと展開している。M&Aの加速も業界を象徴する動きである。

 建設需要は依然として安定しており、物流施設やデータセンターといった分野の開発が伸びている。公共工事分野では、インフラ老朽化対策が急務で、自治体の技術人材不足を背景に、ゼネコンが企画や設計の段階から関与するケースも増えている。

 活況な建築需要を背景に人手不足は続いている。未経験者や異業種出身者の採用も広がっており、現場教育を内製化する仕組みづくりが鍵となっている。

裾野が広がる不動産業界
今後の成長セクターは?

 不動産業界は大手集中が進み、資金力、ブランド力、ネットワークを備えた企業が継続的な成長を遂げている中、不動産業の裾野は広がりつつある。特に注目されるのがインフラ市場確立の流れだ。データセンターや冷凍・冷蔵物流施設といった新領域は、社会基盤の一部として位置付けられ、今後の成長セクターと目されている。

 世界資本と人材の流入が進み、グローバル化が急速に進展している。大手だけでなく中堅企業も海外プロジェクトに参入し始めており、語学力と国際交渉力を備えた人材への需要が増している。

 業務領域が広がる中で、法律知識をベースに多様な分野に対応できる柔軟な人材が求められている。資格は基礎スキルとして評価されるが、それ以上に「学び続ける姿勢」が重視される。

(建設業界はリクルートエージェント コンサルタント<建設不動産領域担当> 箕輪真人氏、不動産業界はニッセイ基礎研究所 准主任研究員 渡邊布味子氏への取材を基に構成)