企業も恋愛・結婚も同じ
出合いが多ければ成功確率は上がる
前回お話したように、3月、4月は企業の就活が最も盛り上がる時期です。企業の情報が多く出回っているため、ここできちんと活動すると、早期段階で情報が少ない時期と比べれば、出合いのチャンスが労せずとまでは言わずとも、格段にスムーズに広がります。
それは、企業との理想の出合いにつながりやすくなります。前述の初恋の話ではないのですが(初恋で一生の伴侶に出会える人も、もちろん稀には存在しますが)、誰でもいくつかの会社を見てからのほうが、自分の中での評価軸がいろいろできるため、いい会社を見つけられる可能性が高まります。
逆に1社目、もしくはあまり準備をしていない段階だと、「人気企業か」「年収はいくらか」「業界では何位か」といった表面的なスペックに目がいってしまい、本当に自分にとってのいい会社を見極めることは難しいと考えます。
子どもの頃好きだった食べ物と、大人になってからの好みの変遷を思い浮かべてもいいかもしれません。子どもの頃、ハンバーグやナポリタンやオムライスなど、お子様ランチに入っているような料理が好きだった人は多いでしょう。それが大人になるにつれて、それぞれ自分の好みや嗜好が出てきます。漬物が好きになったり、お酒のつまみのするめやバイ貝が美味いと思えてきたり――。
それは大人になるにつれて、行動範囲が広がり、だんだん食べられるものの数が増え、実際にいろいろなものを食べる機会が増えて味覚が拡張した結果、おいしさを感じる幅が広がり、多くのものの中からより自分にしっくりくるものを選べるようになったということです。つまりお子様ランチという、予め設定されたおいしさの評価軸以外に、自分なりの食べ物の評価軸を持てるようになったから、お子様ランチ以外の食べ物の良さがわかるようになったのです。
さらにいえば、いろいろ食べた結果、「やはりオムライスはおいしいな」とオムライスのよさがより深くわかるようになることもあります。また、まだ出会っていない味でとても美味しいものがあっても、実際に食べてみなければおいしさがわかりません。味覚にも段階があります。あるものをおいしいと思えるようになると、それを足がかりに、それと似た別のものもおいしいと思えるようになる、という広がりもあります。いずれにせよ、それらはある程度の経験を経なければ得られない判断基準です。