企業も全く同じで、表面的な数値や人気以外の面で、「ここはいいかもしれない」「自分には合うかもしれない」と気付ける「勘」のようなものは、ある程度の社数を見なければ働かないものなのです。

 ちなみに、ダイヤモンド・ヒューマンリソースが22年卒を対象に行った『22卒ダイヤモンド就活ナビ就活意識調査』によれば、就活生1人あたりの平均受験社数は15.4社、1人当たりの平均エントリー社数は37.3社、セミナー参加社数は20.6社となっています。私の個人的な見方では、企業説明会は今はほとんどオンラインで参加できるので、もう少し社数を増やせるのではないかと思います。社数を増やせば増やすほど、自分の企業を見る目の精度も、面接などでの受け答えの精度も上がるので、やった人ほど自分に合う企業に出合いやすくなります。

あれこれ思い悩むのではなく
面接を受けて失敗を重ねる

 面接などはある程度場数を踏まなければ、仮に完璧な原稿を準備して臨めたとしても、リアルタイムでのやりとりに即応できず、うまく話せないこともあります。また、1社も受けないままあれこれ独りで思い悩んだところで、実際に面接を受けて第三者の目に晒され、いろいろな失敗を重ねなければ、なかなか受け答えなどのコツはわからないものです。自分の面接での受け答えのどのあたりがよくなかったのかを顧みる機会がないという意味でも、受ける社数を少なくするのはとてもリスキーな行動です。

 企業選びは結婚ではなく、恋愛です。一生添い遂げようとまで思い詰めず、「将来はわからないけれど、良いお付き合いをできる人がいればいいな」といった恋愛を求めるような気持ちで臨んでください。もちろん何度か(何度も)振られたとしても、あなたとぴったりの会社は必ずあるので、決して「この世の終わりだ」と悲観したり、自暴自棄になったりせず、たまたま相性が合わなかったと思って、どんどん次を探してください。

 そして、本当に自分にぴったりの会社と理想の出会いができる確率が高まるのは、30社なり40社なりの企業説明会を聞いたり調べたりしてみて、自分の中に企業を見る目ができてから。つまり、たくさんの会社を回れば回るほど、理想の出会い、理想の恋愛ができるチャンスは大きくなると考えてください。

 次回は、具体的にアクセスする社数をどのように広げていくかについて、お話したいと思います。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)