JR九州JR九州日豊本線の885系 Photo:PIXTA

JR上場4社と大手私鉄15社は2021年度第3四半期決算を発表した。前年比で大きく改善した今回の決算で見えた、鉄道各社の現状と課題とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

前年から大きく改善した
鉄道各社の第3四半期決算

 JR上場4社と大手私鉄15社は2021年度第3四半期決算を発表した。4月から12月の累計で最終赤字となったのはJR東日本、JR東海、JR西日本のJR3社に加えて、西武ホールディングス(HD)、東京メトロ、京成電鉄の私鉄3社。一方、JR九州とその他の大手私鉄は最終黒字となった。昨年度同期は19社全てが最終赤字だったことを思えば隔世の感がある。

 なお今年度から国際的な会計基準に合わせた「収益認識に関する会計基準」が適用されている。影響が大きい売上高と営業費の前年同期比の比較は困難だが、利益については比較的影響が少ないとされるため、主に利益について比較して見ていきたい。

 第3四半期(10月~12月)は、昨年9月まで猛威をふるったコロナ第5波と、今年1月以降の第6波のちょうど狭間で、行動制限の緩和と自粛解禁ムードで外出機会が増えた時期だった。そのため四半期単位の鉄道利用者数は各社ともコロナ禍以降最多を記録した。

 赤字にあえぐJR三社も改善の兆しは見えており、例えばJR東日本の運輸セグメントの営業損失は第2四半期(7月~9月)の約775億円から今四半期は127億円まで縮小。JR西日本も約425億円から約38億円となり、JR東海は約87億円の営業赤字から約648億円の営業黒字に転換した。不動産業の好調も追い風となり、第3四半期だけをみれば3社とも最終黒字となっている。