他人とのコミュニケーションは、気を遣うし疲れます。
けれどなるべくラクに、自分らしく、たのしく会話したいもの。そしてできれば、良い印象も与えたい! ですよね。
この連載では、日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当し、15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた『オトナ女子のすてきな語彙力帳』の著者、吉井奈々さんが「自然体のまま」で「相手も自分も大切にするコミュニケーション」のコツをご紹介します。

引越し、転職、入学…「新年度で変化のあった人」へのNG言葉、OK言葉Photo: Adobe Stock

こんなひと言が「環境に変化のあった人」を不安にさせる

 新年度が始まって、暮らす場所を変えた人、職を変えた人、学校に入学した人など、新たなスタートを切っている人がたくさんいると思います。期待やワクワクした感情がある反面、不慣れなことも多く、不安を感じている人もいるはず。

 連休中に久々に会って、お互いの近況を報告し合う、なんていう人もいるのではないでしょうか。

 新しい環境で頑張っている人に対してつい言ってしまいがちなのが、

「新しい仕事、順調?」
「新生活、頑張ってる?」
「新天地で頑張ってね」

 のようなひと言。

 相手が新たな場所で活き活きとした生活を送っている確証を得た上でなら問題ありませんが、よくわからない状態で聞いてしまうと、プレッシャーを感じさせてしまうことも。

 新たなステップを歩んでいる人には、ぜひこんな言葉を贈ってみてください。

「応援しています。困ったときは連絡くださいね」

 ポイントは「応援」と「気遣い」をセットにすること。言葉のお守りを贈るような気持ちで、新生活を始めた相手に届けましょう。こう言われた相手は、いざというときに頼りやすくなりますよね。自分にはこういう存在がいると思えるだけで励みになります。

 春から大学生活を始めた姪っ子に…なんていう場合は「応援してるよ! 何かあったらすぐに連絡してね」などと伝えられるといいですね。

引っ越しや転職をした人に贈りたい言葉

 引っ越しをする人には

「新しい地での生活を楽しんでくださいね」

 といったひと言を贈りましょう。ほどよい距離感のある相手にちょうどよいひと言です。

 仲のよい間柄なら「落ち着いた頃に遊びに行きますね」と加えるのもいいですね。

 転職する人、した人には、お祝いの言葉を伝えたあとに、

「これからも〇〇さんらしい素敵な人生を歩まれますように」

 と締めくくるのも素敵です。「新天地でも大活躍、間違いなしですね!」とポジティブな言葉をプラスするのも◎。

あなたの言葉には、相手の不安を吹き飛ばす力があるかもしれない

 あなたに予知能力はありません。でも、これまで相手がどんなふうに取り組んできたかは知っているはず。

「いろんなことがあると思うけど、〇〇さんなら絶対に大丈夫!」
「そばであなたを見てきた私がそう思うから安心して」

 こんな言葉で、環境が変わったことで相手が抱いている不安を吹き飛ばしてあげましょう。

(本記事は『オトナ女子のすてきな語彙力帳』をもとに編集しています)

吉井奈々(よしい・なな)
一般社団法人JCMA代表理事、コミュニケーション講師。
企業や教育機関でコミュニケーション講師として活躍。15年間にわたって約7万人に「心を大事にするコミュニケーション」を伝えている。日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムなど多くの省庁や企業で講演や研修を担当。現場で使えるコミュニケーションスキルやマネジメントの考え方は再現性が高いと評判で、大手コンビニチェーンでの講演は「また来年も聞きたい講演会ナンバーワン」に選ばれる。著書に『オトナ女子のすてきな語彙力帳』など。