「自信がなければならない」という価値観に振り回される必要はない

だから、すごく自信がある人や、「自分はこういう人間だから」と断言できる人をみると、本当に不思議に思えてくるのです。疑いたくなるのです。

それ、本当に、思ってんの? なんであなたに承認欲求がないって確信できるの? 自分のこと、優しいって思ってるみたいだけど、それ、優しい自分に酔ってるだけじゃない? 本当に愛情から生まれてくる行動なの? とか。そういうきついことを言いたくなってくる。

考えすぎなのだろう、とよく思います。こんなことを考えているのは自分だけじゃないかと。優しい人を見ると疑いたくなるなんてどうかしてる。優しくされたなら素直にその優しさを受け取っておけばいい。なのに、そうすることができない。馬鹿みたいに、いつもいつも、自分や他人を疑っているのです。

でも私、だんだん、こう思うようになってきたんです。

自分を信じるって、そんなにいいことなのかな。素晴らしいことなのかな。自信がある人間の方が、幸せ、なのかな。

最近、よく考えるんです。そのことを。自信があるように見える人を見つけるたびに、考える。

どうして、あの人はあんなに自分のことを信用できるんだろう? 信じすぎじゃない? もしかしたら、自分は、悪いことをしでかすかもしれないって、思わないのかな。

そんな風に、疑問に思ってしまう。どうしてでしょう。たぶん、自分が自分のことを疑いすぎているからだと思います。でも、本当に不思議なんです。なんでそこまで信じられるんですか。なんで自信を持てるんですか。私にはわからない。本当にわからない。理解できない。

でも「自信があったほうがいい」って、私も思っていた。私も、自信がある人間になりたいと、思っていた。だってそのほうが、いいように見えたから。幸せそうに見えたから。

だけど、別に、「自信がなければならない」とか、「自信があるほうが幸せだ」とか、誰が決めたルールでもありません。なんとなくそういう風潮が流れているような気がするから、そっちのほうがいいように見えるだけであって、別に、私が自信を持って生きなければならない理由は、何一つ、ない。

そうです。ないんです。ルールはないんです。「人の生き方」に、ルールなんてものは存在しないです。「性格」にルールはないんです。こっちのほうがいいとか、こっちのほうが幸せとか、そういうことはわからないんです。やってみないとわからない。試してみないとわからない。