子育て世代のがん検診、受診率が低い「所得・年齢・教育歴」の組み合わせは?写真はイメージです Photo:PIXTA

 子育て世代に当たる日本人成人のがん検診受診行動に関連する因子が明らかになった。新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科の杉崎弘周氏らの研究によるもので、教育歴や経済状況、がんの家族歴などが、がん検診受診率に有意に関連しているという。研究の詳細は「Healthcare」に3月10日掲載された。

 がんは長年、日本人の死因のトップを占めている。がんの治療は確実に進歩しているものの、予後を左右する最大のポイントが早期発見であることは変わりない。しかし日本人のがん検診受診率は諸外国に比べて低いことが報告されており、例えば乳がん検診受診率は米国の80%以上に比較して44%に過ぎない。また、がんは一般に加齢とともに増えるが、日本では晩婚化と高齢出産の増加により、子どもが成人する前に親ががんに罹患することもまれでない。子育て世代のがん死は、残された家族への影響がより大きい。

 これまでに、がん検診受診行動を左右する因子についての研究は国内でも行われてきた。しかし、子育て世代に焦点を当てた研究はなく、実態が明らかでない。杉崎氏らの研究は、このような背景のもとで実施された。