新入社員が辞めたくなったときの「辛さ」の見極めポイント

今年から新入社員として働いていて、今仕事が辛くてたまらないという人もいるだろう。

「頑張らなくていいよ」「ブラック企業ならすぐに辞めたらいい」という言葉を見て、今の仕事を辞めようかどうか、迷っている人もいるだろう。

そのときに見極めるべきポイントは、「その辛さは、『成長痛』なのか、それとも『理不尽に対する怒り』か、どちらなのか?」ということだ。

会社に泊まり込みで24時間、社訓の唱和をさせられ続けるとか、上司に殴られるとか、そんな意味のわからない理不尽が横行しているのなら、洗脳される前にすぐに辞めた方がいいだろう。

でも、認められたいのに認めてもらえないとか、早く役に立ちたいのに価値が提供できていないとか、理想の自分像とのギャップに苦しんでいるのなら、正当な苦しみである可能性が高いから、もうちょっと頑張ってみてもいいかもしれない。

大事なのは、自分の心の奥底に眠る承認欲求や劣等感やコンプレックスなど、負の感情を誤魔化さずにしっかりと掘り下げて見つめることだ。

そうせずに、安易にネットの言葉を信じて「会社が悪い」「社会が悪い」と判断してしまっては、きっと心にわだかまりが残ってしまう。

……とまあ、こうやって書いているのも、私が自分を鼓舞するために、自分に言い聞かせている言葉にすぎないのだけれど。

だけど、私は私のために、信じることにしている。

「続ける」ことでしか、見えない世界があるのだと。

仕事の「本当の面白さ」や「楽しさ」というのは、ある一定期間ちゃんと、技術の向上を目指して頑張り続けないと見えてこないものなのだと。

たとえその「瞬間」が苦しくても、それを乗り越えて手に入れる面白さというのは、なにものにも替え難いものだ。

人の役に立てているという喜びを得られることがないまま、「頑張らなくてもいいや」と簡単に決めつけてしまうのは、あまりにもったいないなあ、と私は思う。

仕事は面白い。
辛いけど、面白い。

必死で頑張ってがむしゃらにやっている私、かっこいいじゃん、なんて、自分で褒めてあげたりして。

そういう自分が、私は好きだ。

だからこそ、過去の自分に伝えるという意味も込めて、伝えたい。

働くのってめちゃくちゃ楽しいよ、最高だよ、こういう生き方も、ありなんだよ、と。

私は今年度もまたどこかの瞬間では死にたくなり、誰とも会いたくなくなり、もう仕事なんて辞めてやると泣き叫ぶだろう。

でも、そうやってぐちゃぐちゃしながらでも、「続ける」ことさえできていれば、きっと、新しい世界が見えるようになるだろう。仕事は、生きることは、もっともっと、面白くなるだろう。

だから、大丈夫。
きっと大丈夫。
どんな大波がきても、乗り切れる。

大丈夫だよ。やれるところまで頑張ってみよう。

さあ、2022年度。

新しい勝負を、始めよう。

「頑張らなくていいよ」という言葉を真に受けた新入社員のその後川代紗生(かわしろ・さき)
1992年、東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。
2014年からWEB天狼院書店で書き始めたブログ「川代ノート」が人気を得る。
「福岡天狼院」店長時代にレシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。
メニュー告知用に書いた記事がバズを起こし、2021年2月、テレビ朝日系『激レアさんを連れてきた。』に取り上げられた。
現在はフリーランスライターとしても活動中。
私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)がデビュー作。