コロナ禍のあおりを受けた貸会議室国内最大手の社長と、リモート需要を取り込んだウェブ会議国内最大手の会長(3月まで社長)。対極に立つ会社のトップ2人ではあるが、ビジネス会合で新たな主流になるスタイルについては見方が一致している。特集『リモート沸騰 エンタメ・冠婚葬祭・ビジネス』(全7回)の#2では、選択肢が増えたビジネスイベントの開催手法と損得を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
ウェブ会議最大手は連続黒字
貸会議室最大手は連続赤字
ウェブ会議国内最大手のブイキューブはコロナ禍の向かい風を受け、連続黒字の波に乗る。対して貸会議室国内最大手のティーケーピー(TKP)は逆風にさらされ、2期連続赤字。両社共にビジネス利用をメインに集う場を提供するのが事業の中核。集う場がオフライン(リアル)なのかオンラインなのかで明暗が分かれた。
ブイキューブはオンラインで開催する会合やイベントの運営サポートを拡大。オンラインによる参加・出席に応じるバーチャル株主総会の配信サポートという新たな市場も開拓し、この市場で2021年に上場158社から受注した。
TKPも会合・イベントのリアル開催を控える得意客にオンライン開催の運営サポートを行い、会議室は新型コロナワクチン接種会場にするなど用途を開拓して、逆風が静まるのを待った。2000人規模収容の大宴会場を備えたイベントホール「TKPガーデンシティ品川」は21年3月に閉鎖した。
今春の新入社員研修をはじめ、リアルで研修や会合が行われるようになってきた。リアルイベント需要が回復していく中で、東京の品川駅前という一等地の大宴会場を失ったことはマイナスに働きそうなものだ。
しかし、TKPの河野貴輝社長はこれを意に介さない。大規模なイベントは、従来とは開催のかたちが変わっていくことを見据えているからだ。
これからビジネス会合の主流になるもの、時代遅れになるものは何か――。意外なことに、河野社長とブイキューブの間下直晃会長(3月まで社長)兼グループCEO、対極に立つ両者の見方が実は重なっていた。