リモート沸騰 エンタメ・冠婚葬祭・ビジネス#1

格闘技界で世紀の一戦「那須川天心・武尊戦」が6月に開催される。東京ドームに約5万人を収容し、地上波テレビでの生中継があるので、有料型オンライン配信の出る幕はなさそうなもの。しかし、ABEMA(アベマ)は配信で大勝負を仕掛ける。特集『リモート沸騰 エンタメ・冠婚葬祭・ビジネス』(全7回)の#1では、コロナ禍で成長した有料型オンライン配信市場の可能性を探る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

無料生放送の天心vs武尊戦で
金を払いたくなるオンライン配信とは?

 キックボクシングにおける世紀の一戦、「那須川天心・武尊戦」が6月19日についに実現する。

 異なる団体で勝ち続けた2人の対戦は長らく、団体の壁が阻む「幻のカード」とされてきた。その一戦が天心選手がボクシングに転向する前の最後の試合として組まれ、キックボクシングで最大級の大会「THE MATCH 2022」が東京ドームで開催されるのだ。

 コロナ禍に伴う入場人数の制限がなくなったことで会場は約5万人を収容し、フジテレビで生放送される。加えて、サイバーエージェントなどが出資するインターネットテレビ局のABEMA(アべマ)が有料でオンライン配信(ABEMA PPV ONLINE LIVE)を行う。

 会場への入場が制限された上に地上波放送もないイベントであれば、オンライン配信は需要を取り込みやすい。しかし、今回はテレビで無料で観戦できる。有料配信の需要は、地上波放送から漏れる他の試合まで全て見たいというコアなファン層に限られる。

 ところがである。アベマは今回の有料オンライン配信で大勝負に打って出る。東京ドームやフジテレビで観戦する者も配信に金を払いたくなるような、独自の企画を仕込んでいるのだ。