リモート沸騰#4Photo:PPAMPicture/gettyimages

医師らが集う学会でオンラインを使った開催が相次いでいる。医師からは定着を望む声もあり、そうなると打撃を受ける筆頭はどこなのか。製薬会社ではない。ホテルや航空会社が「三大危機」を抱えている。特集『リモート沸騰 エンタメ・冠婚葬祭・ビジネス』(全7回)の#4では、医療界における会合の変化と、製薬、ホテル、航空、鉄道など各業界への影響を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

かつて5000億円規模の製薬マネー
2020年度に急減した

 製薬会社から医療機関や医師等に流れる資金が急減している。

 製薬会社はさまざまな名目で医療機関や医師等に資金を提供してきた。製薬会社には自社の医薬品を処方してもらう狙いがそこにはあった。しかし、資金関係のある医師と製薬会社の間の不正事件、スキャンダルが明るみに出て、世間の目が厳しくなった。約10年前からは資金提供額を公表するガイドラインが導入された。

 公表が始まった2012年度の資金提供額は製薬会社70社合計で5000億円規模に上ったとみられる。その製薬マネーについて製薬大手である武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共で調べると、20年度は19年度から急減していた。

 コロナ禍に伴い医師が参加する会合がリモート化したことが背景にある。

 次ページでは、武田薬品、アステラス製薬、第一三共の資金提供額の実績から変化の実態を明らかにするとともに、周辺業界に与える打撃に迫る。そこから分かるのは、ホテルや航空会社の危機はコロナ禍が過ぎても終わらないということだ。