トップ3の商社3社に続く4位となったのは、野村ホールディングス。平均年収は1414.6万円だった。

 ただ、野村ホールディングスは会社の形態が「ホールディングカンパニー」であることに留意したい。ホールディングカンパニーは「持ち株会社」とも呼ばれ、傘下のグループ企業を「親会社」として統制する役割がある。

 ホールディングカンパニーは、事業の運営会社に比べ、少人数であることが多い。かつ、従業員もグループ企業の「エリート層」が集まる傾向にあり、総じて平均年収も高額になりがちだ。

 単体従業員数を見ると、野村ホールディングスは154人。数千人規模の三菱商事や伊藤忠商事と比べると、かなり少ないことが分かる。

 5位にランクインしたソフトバンクグループ(1405.0万円)も、同様の持ち株会社であり、単体従業員数は241人と少ない。

平均年収900万円超の約8割が
東京本社の企業

 今回、平均年収が900万円を超えた企業は69社だった。最後に、この69社について都道府県別、業種別に傾向を確認しておこう。

 本社所在地について都道府県別に集計すると、最も多かったのは東京で57社だった。年収900万円超となった企業の約8割が、東京に本社が集中している。次いで大阪府が8社、神奈川県が2社、愛知県と山梨県が1社ずつだった。愛知県の1社は大手商社の豊田通商(22位、1100.1万円)、山梨県は産業用ロボットなどを手掛けるファナック(23位、1098.2万円)だ。

 業種別に集計すると、「卸売業」「建設」「情報・通信」が同数で最も多く、それぞれ11社だった。3業界ごとに11社の平均年収を算出すると、卸売業が1208.6万円で最も高く、次いで情報・通信が1088.9万円、建設が979.6万円となった。大手商社は卸売業に含まれる。

 情報・通信の11社には5位のソフトバンクグループに加え、9位のテレビ朝日(1280.3万円)、12位の野村総合研究所(1225.1万円)などが含まれる。建設では、鹿島(17位、1135.2万円)のほか、空調設備などの設計や施工を行う大気社(27位、1078.3万円)などが年収900万円超となった。

 そのほか、「医薬品」が9社、「不動産」が5社、「電気機器」が4社だった。

(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)