なぜ実家の両親はモノを捨てられないのか?高齢者宅の片づけで重要な3つのポイント眠っている洋服がたくさんあるのに買い続けてしまう依頼者の母親。「また買ったの?」は禁句です Photo by sea

実家に帰るたびに、モノの多さに辟易している人も多いのではないでしょうか。そして、「もう使わないんだから捨てればいいのに!」とつい親に強く当たってしまっている人は必見です!親はなぜ捨てられないのか……。まずは「感情」に寄り添うことが大事です。ベテラン家政婦が実家の片づけがうまくいくヒントをお伝えします。(家族の片づけコンサルタント sea)

高齢者の片づけサポート問題で
厄介なのは「モノ」ではない

 最近、80代以上の高齢者宅に整理収納サポートで訪問する機会が増えました。いずれも子世代からのご依頼で、二世代プラス私で一緒に片づけ作業を行うスタイルです。今後もおそらくこの流れは加速していくのだろうなと感じます。

 訪問すればするほど感じるのは、親子間の感覚のギャップ。お年を召された方ほど「片づけが問題だ」という意識が弱く、せいぜい「ちょっと不便かな」程度です。

 そもそも“終活”を意識している方は、おそらく60代〜70代半ばの体力のあるうちに、自分で片づけをある程度終わらせているもの。80代になって家の片づけ問題に直面する場合、それまで片づけのアンテナがあまり立っていなかったタイプの方がほとんどでしょう。子世代が「このままじゃ危ない、安心・安全に暮らしてほしい」「モノが多すぎる、減らしてほしい」と前のめりになりがちなのとは対照的です。

 そもそも高齢者は、変化に弱い傾向があります。どんなに便利でも、家具の位置やらモノのしまい場所やら、何もかも一気にガラッと変わってしまうと戸惑いの方が大きい。子世代が焦って成果を急ぐと、最悪の場合「片づける前の方が良かった」と言われかねません。

 結論を焦ってはいけません。扱っているのは“モノ”ではなく“高齢者の感情”と思ってください。信頼関係を損なわないように気をつけながら、少しずつ家の中を整えていきましょう。

 今回は、私が第三者として片づけの場に立ち会った経験から、80代以降の高齢者宅の片づけで注意すべき3つのポイントについて解説します。