「頑張っているのに報われない」と悩み続ける人の特徴

──「頑張っているのに報われない」「いつまで努力すれば評価してもらえるんだろう」と、悩む人の声もたびたび耳にします。いまの職場で頑張り続けて、やりたいことができるのか、と転職や独立を考える人もいると思いますが、井上さんは、「頑張っているのに報われない」問題について、どう解決したらいいと思いますか。

井上:そもそも、「頑張っているのに報われない」という言葉に、ある種の勘違いのようなものを感じます。「頑張っているのに報われない」と悩むということは、「頑張ったら報われる」という等式が成立するのが当たり前、と無意識に思い込んでいるんじゃないかなと。

でも、違うんですよ。報われることなんて、ほとんどないんです。

「頑張っているのになぜか報われない」根本的な理由

──井上さんでも、そう思うんですね。

井上:あの羽生結弦選手だって、「努力って報われないなあって思いました」と、北京五輪の試合後におっしゃっていたじゃないですか。あれだけ大成した羽生選手が報われないと言うんだから、ほとんどの人は報われないですよ。報われなくて当然です。もちろん、頑張らないと報われません。努力は、報われるための必要条件だとは思います。でも、努力したからといって、報われるとは限らない。そこまで甘くないと思ったほうがいいんです。

──たしかに、「夢が報われる」ことを前提に自分の未来をイメージしてしまい、イメージ通りにならなくてがっかりする、落ち込む……。という人は多いかもしれません。

井上:私は、羽生選手のあの言葉、本当に、よくぞ言ってくれましたと、心が震えたんです。いまの社会にある「夢を持とう」「夢って素晴らしい」という風潮は、ある種のパワハラに近いんじゃないかと思っています。夢なんて本当は、なくていいんです。子どもの頃から夢を持つことを強要されるから、夢がない自分、やりたいことがない自分、夢が叶えられない自分はおかしいんじゃないかと思ってしまう。本当は夢なんて、なくて当たり前なんです。