中国国内の接客が
良くなっていると実感

 この男性と同じく、上海の別の男性もコロナ禍で国内に目を向け、各地を旅行して歩いたときの経験を話してくれた。

「これまで日本やヨーロッパなどを1年に3回以上、旅行してきました。どこに行っても自分なりに旅行計画を立てて、気ままに歩く旅です。でも、コロナによって海外には当分行けそうもない。そこで国内旅行に出かけたのですが、意外な発見がありました。

 これまで、この国には日本で受けたような“お・も・て・な・し”というものはほとんど存在しない、中国人にサービス精神なんてないと思っていたのですが、そんなことはなかった。コロナで観光客が減ったせいなのか、自分がこれまでしっかり自分の国を見ていなかったから気づかなかったのか分かりませんが、国内の観光施設で働く人たちの接客が以前よりも数段良くなっていると感じて、正直感動しました。

 自分は“体験型”の旅行が好きで、日本に旅行に行ったときにも生け花や茶道、座禅なんかをやってみたことがあったのですが、国内でもさまざまな体験ができる施設が急激に増えていると感じました。友だちと雲南省に行ったときには、雲南省でしか食べられないような山菜を使った料理を民宿の人と一緒に作ったり、少数民族の村で藍染め体験をしたりしました。農村でも、都会の人向けにそうした体験型旅行を提案しているところがたくさんあり、コロナ禍で密にもならないのでとてもいいと思いました。

 自分はこれまで北京などいくつかの都市には行ったことがあったのですが、数年前からは海外旅行に夢中になって、国内に行く機会はなく、それに関心もありませんでした。コロナによって国内を旅行したことにより、国内にはまだ私たちが知らない多様な文化があると思い、見直しました」