政府による、日銀の政策委員会審議委員における交代人事に、その可能性が垣間見える。金融緩和政策に積極的な片岡剛士氏の後任に、必ずしも現在の金融緩和政策に賛成ではないと目される高田創氏を充てた。この延長線上を想像するに、来春の日銀の正副総裁人事で、現在の金融緩和路線を修正しようとする人事を行う可能性にリアリティーがある。

 日銀の金融緩和政策が終わることが意識されると、大幅かつ急激な円高が発生する可能性がある。

 こうした予想は、既に現在直ちに意識される可能性もあるし、7月の審議委員交代時、あるいは年末から来年初にかけて日銀総裁人事が話題になる時点で、為替市場の材料になる公算が大きいように思う。

 一方的な円安への賭けは危険だ。

投資は「長期では」報われる
長期前提なら今始めても構わない

 米国をはじめとする株価下落の可能性と、急激な円高の可能性、その2点から、筆者は「短期的な」投資・資産運用で収益を上げようとする試みに賛成しない。もちろん短期的にも、株価は上昇する可能性が十分あるし、円安がさらに進む可能性もある。

 しかし株価と為替レート共に、いかにもリスクが大きい。そのため、例えば「当面の物価高に対する対策として投資を始めてみよう」と思うような個人には、向こう1年くらいは「待つ」ことをお勧めする。

 一方、株価の2〜3割の下落は時々起こることで、それがいつ起こるかは全く予想できないことだ。また、時々の株価や為替レートにはその時点で利用可能な情報や市場参加者の予想が反映していると考えられる。

 こうしたことを十分理解した上で、長期的に投資することで成果を上げようとしている投資家には、「当面リスクが大きいから、株式投資のリスクを縮小した方がいい」とは言わない。「売っておいて、安値で買い戻す」投資行動は、見かけ以上に難しく、プロ・アマの別を問わず、うまくいきにくいからだ。自分にとって適切な大きさのリスクでの資産運用をじっと続けるのがいい。