武器を増やし自信をつけたければ
あえて違った環境へ転職すべき
会社に依存しないようにするにあたって、転職は自分の武器を増やし、自信を与えることにつながります。
ある人のある1社でのパフォーマンスは、その会社の条件、土壌の上にその人のスキルをプラスして、その会社の仕組みを使って出せるものです。その会社がなくなったとき、その人が何ができる人なのかは、1社の結果だけではなかなか分かりません。
転職するということは、その人が別の土台、仕組みの上で、自分の能力を生かすということです。すると、少なくともサンプル数1の世界が2の世界になる。もう1社経験すればそれが3になる。それぞれの会社がやっていることが違えば違うほど、その人はいろいろなことができるということになります。
私の場合、コンシューマー向けのプロダクトから、エンタープライズの工場向けプロダクトまで、組み込みシステムもウェブも担当して、自分の武器を増やしてきました。外資系IT企業で働き続けた後、グーグルを辞めて日本のスタートアップのIncrements(インクリメンツ、現社名はQiita〈キータ〉)に移ったのも、今までの条件を変え、全然違うことをやりたいと考えてのことでした。それまで所属していた企業の規模も、日本法人は小さかったとしても全体では数千人から数万人が働いていたので、小さなところで働く経験もプラスしたいという思いもありました。
すでに50代になっていて、収入も大きく下がるというのに大手ITからスタートアップへ移った私のことを、きっと中には「頭がおかしいんじゃないか」と思った人もいたことでしょう。しかしだからこそ、他の人との差別化ができ、自分の武器を増やすことができたのです。