今はもう年齢的にもサラリーマンに戻ることはないと思いますが、もし戻ることになったとしても、外資系でもスタートアップでも、それから日本企業でも働けそうだし、個人事業主も会社設立も一度やりましたから、もう一度やることになっても何とかできそうな気がしています。常に新しい環境に自分の身を置いて、能力を高めることを意識して行い、差別化していくことで、多少何かがあっても、生きていけるだろうという自信につながっているのです。

 私のように、あえて選択肢、自分の武器を増やすということは、積み重ねですから、若いときから意識して実践してみるとよいのではないでしょうか。またシニア層の方も、残された時間を会社が丁寧に作ってくれたレールに沿って過ごすのも悪くはありませんが、今からでも使える武器を増やすような仕事の仕方を意識していった方が、そのレールの先の人生で何になりたいかを考えるときに、きっと役立つことと思います。

同世代のビジネスパーソンに
絶対やってほしくないこと

 最後に私と同じ50代前後の方に「絶対にやってほしくないこと」と「お勧めしたいこと」をお伝えしたいと思います。

 定年が見えてくると、会社で“守り”に入るような行動をする人は案外多いです。つまり会社がジリ貧なことは分かっていても、自分の代で何かを仕掛けて失敗するぐらいなら、何の手も打たず定年まで緩やかな右肩下がりで会社が持ちこたえてくれればいい、と“勝ち逃げ”を狙うような行動です。

 こうした人は、若手が何かをやろうとすると全部否定してきます。しかし30代・40代の人たちはまだ先もありますから、チャレンジしたいわけです。守りに入るばかりでは、会社、ひいては日本はダメになります。若い人を邪魔することだけは、本当にやめていただきたい。次の世代を考えれば、よりよい社会になってほしいし、より発展していってほしい。そのために自分が何を残せるか、自分ができることは何かを、人として考えてほしいと思います。