50代の会社員は
実はとても能力が高い

 我々世代のビジネスパーソンには、勝ち逃げを狙うより新しいことにチャレンジすることをお勧めします。というのも、新しいことをやろうとすれば、必然的に若い人と話をすることになり、新しいことを学ぶことになるからです。人生100年時代と言われ、もしかすると80代ぐらいまでは働かざるを得ないかもしれない世の中で、今からチャレンジすることそのものが、今後、絶対にその人の武器になるはずです。

 私は日本の50代の会社員は、実はとても能力が高いと思います。その50代が仕事人生を振り返って楽しかった仕事、あるいは趣味でやってきたことを極めれば、すばらしい力を発揮するでしょう。

 私の知人でも、大手企業から退職した後に、IoTデバイスからデータを収集して可視化するサービスを立ち上げた方がいます。若い頃に専門にしていたプログラミングを思い出しながら作ったそうです。その方は「ビジネスは後から付いてくる。楽しいことをやりたいと思ったので、ひたすらプログラミングしています」と本当に楽しそうで、すごくすてきな生き方だと感じました。

 一番よくないのは、若手にかけるブレーキ以上に、自分自身が思考や学ぶことを止めてしまうこと。楽しいこと、面白いことを学ぶことは内発的動機につながり、それを磨き上げていけば、さらに仕事に結び付いていきます。最初は必要で高めたスキルも、スキルを高めること自体が楽しくなれば、より好循環を生み、よい相互作用に結び付くのではないかと思います。

(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)