戦争や軍事は多くの人や組織を一つの目標に向けて動かしていくためのノウハウが凝縮されているのです。また、戦争や軍事は“成果への挑戦とリスク回避”の両軸をその本質としていますが、これはビジネスも全く同様。こうした理由から、軍事用語派生の概念や用語がビジネスにおいても頻繁に使用されているのでしょう。
そこで、古典的名著と呼ばれるクラウゼヴィッツの「戦争論」から戦略のエッセンスを抽出し、そうした考え方がどんな形でビジネスへと応用可能なのかを解説していきます。
本当に“攻撃は最大の防御”といえるのか?
昔からよく言われる“攻撃は最大の防御”。
“防御に対する、攻撃の優位性”というニュアンスで共有され、理解されている言葉ですよね。ビジネスパーソンを含めた多くの人は、この言葉を何となく“正しいもの”として受け止めているように思います。
しかし、それは本当に正しいことでしょうか?
クラウゼヴィッツは『戦争論』の中で「戦争において、防御は攻撃よりもはるかに強力である」と言います。
さらに「防御」を考察したうえで「防御とはAとBという2つの異質的な部分から成る」としました。
ここで一つ質問です。AとB、それぞれに入る正しいものはどれだと思いますか?
(1)A 高い士気 B 高い情報力
(2)A 忠誠心 B 創意工夫
(3)A 待ち受け B 積極的行動
(4)A 確実性 B 投機性