“フルリモートワーク”という働き方で、チームが最大の成果を得る方法

働き方改革やダイバーシティ&インクルージョンの実現が社会課題となっているいま、国内だけではなく、世界各地に在住するメンバーがチームになり、“フルリモートワーク”で業務に取り組んでいる企業がある。2015年にオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」の提供を始めた株式会社ニットだ。同社は、新型コロナウイルス感染症拡大のずっと前からフルリモートワークを取り入れ、個々のメンバーに応じた就労を実現させている。企業理念は「『働く』を通じて、みんなを幸せに」――広報チームリーダーの小澤美佳さんに話を聞いた。(フリーライター  棚澤明子、ダイヤモンド社 人材開発編集部)

“生きる”“働く”ことのあり方をアップデートしたい

 現在、株式会社ニット(以下、ニット)の広報チームリーダーを務める小澤美佳さんは、新卒で株式会社リクルート(以下、リクルート)に入社し、リーマンショックや東日本大震災などが起きた激動の時代に“HR(ヒューマンリソース)”の領域で奮闘してきた。およそ10年間にわたって、約3万社のマーケティング活動に関わり、多くの経営者や人事担当者と苦楽をともにしたという。

小澤 私がリクルートで叩き込まれたのは、自分で考えて自分で行動するという“圧倒的な当事者意識”でした。それを新人時代から徹底的に教えられ、鍛えられました。組織のメンバーが相互理解することで円滑なコミュニケーションがなされていくこともリクルートで学んだことのひとつです。さまざまな学びが現在のニットでの私の仕事のなかで生きています。

 リクルートでの10年目――管理職としてさらに上を目指すことも視野に入っていたが、小澤さんは退職を決意し、一人旅をして惚れ込んだ、中米・ベリーズに移住し、現地での仕事に踏み切った。観光業を営む日本人女性社長の“右腕”を経て現地で独立したものの、それまで経験したことのなかった苦境に立たされることにもなり、深い孤独感を覚えたという。

小澤 悩んだ末、帰国してHRに関わる仕事に戻ろうと決めました。理由は2つありました。ひとつは「企業において“人”のことで悩まない人はいない」とリクルート時代の仕事で確信していたこと。だからこそ、すべての働く人に紐づくHRという領域で「もう一度チャレンジしたい」という気持ちが強くありました。もうひとつは、日本人の“生きる” “働く”ことのあり方をアップデートできる仕事をしたいと思ったこと。ベリーズでの就労をはじめ、海外での経験を経ての話ですが、外国では、子どもを預けて遊びに行く母親や、誕生日という理由で仕事を早退する人を当たり前に目にします。みんなが自分自身の人生を楽しんでいました。一方、日本はステレオタイプの常識のなかで、自分を犠牲にして働く人が多いかな、と……そんなことを考えているときに出合ったのが、ニット*1 という企業でした。

*1 株式会社ニット 代表取締役社長/秋沢崇夫 事業内容/オンラインアウトソーシング、オンライン特化型アウトソーシング、海外進出支援、オンライン学習、メディア運営

“フルリモートワーク”という働き方で、チームが最大の成果を得る方法

小澤美佳  Mika KOZAWA

株式会社ニット 広報チームリーダー

2008年に株式会社リクルート入社。中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として、数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年に中米のベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年に株式会社ニットに入社し、カスタマーサクセス→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。副業で嘉悦大学の大学講師を担い、キャリアや就職などに関する授業を担当。