オンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」

 ニットが提供しているBtoB事業の「HELP YOU*2 」は、さまざまなスキルを持つメンバーがひとつのチームになって、クライアントの業務を支援するオンラインアウトソーシングサービスだ。携わるメンバーは総勢365名(2022年4月末現在)。クライアントとの折衝やメンバーのマネジメントなどを行う「ディレクター*3 」と、そのディレクターを通じて、クライアントの業務を遂行する「スタッフ」でチームが編成され、「スタッフ」は全員が業務委託契約だ。

*2 HELP YOU 「HELP YOUは様々なスキルを持った優秀なアシスタントが、窓口のディレクターを中心に、チームであなたの業務をサポート・代行します」(ホームページより)
*3 「ディレクター」は、社員のメンバーと業務委託契約のメンバーが併存し、担当案件の最終責任者として、体制構築、顧客とのコミュニケーション(交渉、提案)、進捗管理、品質管理、納品を行い、担当案件の顧客満足度最大化をミッションとしている。

小澤 「社員が上位者で、業務委託契約だから補佐的な仕事をする」ということではありません。当社の事業統括メンバーのなかにも業務委託契約の者がいます。たとえば、育児のために勤務時間を制限されたくなかったり、自由な副業をしたかったり、ボランティアをしながら働いていたり……と、業務委託契約の方はさまざまな動機とともに当社のメンバーになっています。私自身は社員として、会社全体の広報を担当しています。最初は“ひとり広報”からスタートしましたが、現在は「HELP YOU」のスタッフ2人を加えた3人体制のチームで、業務内容によってはさらに複数人に加わっていただき、仕事を遂行しています。

「HELP YOU」のクライアントである先方担当者との打ち合わせや交渉、チーム内スタッフの取りまとめを行う約40人のディレクターの役割はかなり大切なものに思えるが……。

小澤 「HELP YOU」のサービスはサブスクなので、クライアントの方々が「ずっと続けてお任せしたい」と思ってくださることが重要です。そのためには、ディレクターがいかにクライアントの要望を正しく聞き取り、効率よくチームを回していくか、が肝になります。ディレクターは「HELP YOU」の優秀なスタッフの中から自分のチームメンバーを募り、マネジメントしています。(ディレクターは)営業やマネジメントの経験者が多く、その80%以上が女性です。60代の方もいらっしゃいますね。

 また、ディレクターがとりまとめる「HELP YOU」のスタッフは業務委託契約とはいえ、面接をはじめとした採用試験を行い、OJTも行っています*4 。大切なのは、最適な人に最適なお仕事をしていただくことで、単に「HELP YOU」メンバーの頭数を増やそうとは思っていません。年度ごとの契約になっていますが、継続率は100%に近い数字を維持しています。

*4 「HELP YOU」では、スタッフ⼀⼈ひとりの実績やスキルを把握し、評価に反映している。全スタッフが心がけていることは、⾃律性・⽣産性最⼤化・課題発⾒提案⼒・⼀歩先を読んだ⾏動・やりぬくこと・品質へのこだわり。(株式会社ニット「HELP YOU」サービス資料より)

 そして、何よりも、ニットの大きな特徴は、仕事に関わる全員が“フルリモートワーク”を行っていることだ。「HELP YOU」のメンバー(ディレクター&スタッフ)をはじめ、同社のメンバーは、居住地が日本各地のみならず、世界33カ国に及び、ほとんどのメンバーが“リアル対面”をしたことがないという。新型コロナウイルス感染症拡大のずっと前から定着している “フルリモートワーク”は、各方面から注目を集め、たとえば、昨年2021年は総務省の「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を、今年2022年に入ってからは、東京都の「第2回TOKYOテレワークアワード 推進賞」を受賞している。

小澤 当社の人事担当者はルワンダに在住し、マーケッターはスイス在住とタイ在住です。私自身も、実際に会ったことのある人は数えるほどしかいません。もちろん、「HELP YOU」のディレクターもフルリモートワークなので、クライアントの方々とオンライン以外で顔を合わせることは全くありません。時差のある海外在住ではそれぞれたいへんなこともありますが、オンラインでの対話を含め、仕事への影響はほとんどありません。フルリモートワークでは、住んでいる場所にとらわれずに優秀な人材とチームを組めることも大きなメリットです。