利用者の半分が
子育て世代のファミリー

――現状、mobiのニーズはどういったところにあるのでしょうか。

 半分が子育て世代のファミリーに使っていただいています。ローカルでは高齢者の足としての利用が多いかと思っていたのですが、都市もローカルもニーズはほとんど変わりませんでした。

 その他、利用者から多く聞かれるのが、郊外ではお母さんが自宅から駅まで家族の送迎をするケースが多いのですが、その負担がなくなり自分の時間を作れるようになったという声です。また高齢者や子どもなど免許を持っていない人でも、送迎者の都合を考えず、いつでも移動できるという反応も多いです。

――都市部も地方も、今はまだアーリーアダプターが利用しているということではないでしょうか。移動の格差をなくすためには、高齢者にいかに普及できるかが重要だと考えますが。

 はい。高齢者の方はまだ様子見をしていますので、まずは子育て世代などのファミリーが使うことで利便性を知ってもらい、そこから親世代に勧めて広がっていくことを期待しています。高齢者の利用が増え、駅に行きやすくなれば、鉄道のニーズ増加にもつながると思います。

 デジタルデバイドの問題についても、当社が地元の町内会とかで高齢者の皆さんに教えると、簡単にできるんです。一番のハードルはアプリをダウンロードするところですが、使い方を教えれば高齢の方も簡単に使えるので、そういったこともフォローしながらやっていきます。

――今は高齢者も皆さんスマホ持っていますからね。

 そうなんです。別にアプリが使えないわけじゃないですし、LINEを利用している高齢者も数多くいらっしゃいます。

 mobiは同じエリアに住む、同じライフスタイルで同じ価値観の方々が、みんなでお金を出しあって所有する感覚で使ってもらいたいと考えています。高齢者の方であれば、「誰々さんがどこどこでお茶している」という情報があったら皆で集まるみたいな、情報が見えるようなサービスや、お店から「今、すごいマグロが入りました」みたいな情報が来て、mobiで買い物に行くようなことができればいいなと。

――WILLERの言うところの「暮らしの足」が、これまでラストワンマイルと呼ばれてきたのは、まさに「上」から「長い」ところから考えて、最後の末端としての移動と捉えられてきたからだと思います。小さな移動から積み上げるというmobiが日々の暮らしまで変えていけるのか、単なる交通機関としてではなく、社会を変える大きな挑戦になるかもしれませんね。