インターンシップは決して“魔法の杖”ではない
就活生を対象にしたアンケート調査*2 によれば、「就職活動に有利だと思うから」という理由でインターンシップに参加する学生も目立っている。企業にとっても、学生(就活生)にとっても、近年においてますます重要になってきているインターンシップだが、福重さんは「戦略的にインターンシップに取り組んでいる企業はまだまだ少ない」と語る。
*2 ダイヤモンド・ヒューマンリソース「2022年卒版 採用・就職活動の総括」より
福重 従来、インターンシップを積極的に行ってきたのは大手企業ですが、このところ、大手企業以外でもインターンシップに取り組む企業が増えています。しかし、「インターンシップを行いさえすれば、新卒を採用しやすくなるだろう」と安易に考えている経営者や採用担当の方がいるようです。
短期のものであろうと長期のものであろうと、インターンシップは決して“魔法の杖”ではありません。当たり前ですが、インターンシップで重要なのは、「どのようなプログラムを、どのように行うか」ということ。それぞれの企業の採用戦略に応じて、細かく具体的にプログラムの内容を考えていく必要があります。
もったいないのは、「他社もやっているから、うちも……」という感じで、インターンシップを“何となく行っている”ケースです。他社の方法を表面的になぞって、場当たり的なグループワークのプログラムを開催したとしても、参加した学生の印象は薄く、その後の就職活動にもあまりつながらないでしょう。「人的リソースが不足している」「現場の社員の協力が見込めない」といった、人事部の苦しい事情もあるかもしれませんが、“とりあえず開催している”インターンシップは再考すべきだと思います。
福重敦士 Atsushi FUKUSHIGE
株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース
HD首都圏営業局 局長
2004年、株式会社ダイヤモンド・ビッグアンドリード社入社(現株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース)。大阪支社勤務を経て、2018年から首都圏営業局に在籍。メーカー・商社・金融・マスコミ・コンサルなど、大手有名企業と多数かかわり、インターンシップのプロデュースをはじめ、人材採用から育成までのコンサルティングを手がけている。