企業がインターンシップでやってはいけないこと
企業がインターンシップにおいて“やってはいけないこと・注意すべきこと”にはどのようなことがあるのだろうか。
福重 インターンシップを通じて、「うちの会社っていいでしょう?」「うちの事業はこんなにすごいのです」といった自慢めいた言動は、学生にとって逆効果です。また、働きやすさや会社の雰囲気の良さだけを伝えていくことにも私は賛同しません。こうした例に共通するのは、学生の目線をきちんと考えていないということです。学生にこびへつらう必要はありませんが、かといって、自分たちの“当たり前”に無自覚なのも問題です。
たとえば、一部の企業では、未だにインターンシップを含めて、採用活動のさまざまな場面で高度な専門用語や業界知識を使いがちな傾向があります。景気が悪い時は、学生は予習などしてインターンシップに応募していましたが、オンラインが中心となった現在は学生目線で分かりやすいプロモーションを行う会社がより目を引きます。その分、競争も激化しています。だからこそ、学生の目線をより意識していく必要があると、私は思っています。
それから、特に中小企業の方は、「当社なんて知らないと思いますが……」というようなことを学生に言ってはいけません。謙遜からの発言でしょうが、こうしたフレーズを聞くと、学生は「その程度の会社なのか」と感じてしまいます。そんな会社に行きたいと思うはずがありません。中小企業の方が自社を紹介する際は、「(自社の行っている)こんな仕事があることを知らないなんてもったいない!」といった感じの、自信に満ちた態度が望まれます……とは言え、大企業に比べて、中小企業においては、事業に関わる人員が少ないことも多々あります。その点については、「これだけのビジネスを何人でやっていると思います?」といったふうに、「少数でこれだけのことをやっている」ことを話の“山場”に持ってくるとよいでしょう。中小企業だからこそできること、中小企業ならではの魅力や面白さをインターンシップでどう伝えられるかを考えていければいいですね。
就職活動において、学生は自分の知識や視点だけで企業を判断していく傾向がある。たとえ、優良企業であっても、その知名度の低さから情報をスルーしてしまう学生もいる。優良企業がインターンシップで学生を集めるためにはどうしたらいいのだろう?
福重 コロナ禍前は、合同会社説明会などの大会場でふらっとブースに立ち寄り、「こんな会社もあるのか……」という感じで、知名度の低い優良企業に学生が出合う偶然の機会がありました。しかし、いまの学生はインターンシップもネットでの「検索」によって「出合う」ケースがほとんどです。そのため、検索対象にならない企業は存在しないことと同じになってしまいます。
BtoBなど、学生から“発見されにくい企業”であれば、インターンシップの参加者を集める際に、現役社員や一学年先輩にあたる内定者(主に大学4年生)の力を借りることも得策だと思います。具体的にはSNSでインターンシップの実施情報を発信してもらったり、紹介枠を用意するといった方法が考えられます。学生集めをノルマにすると逆効果になったりもしますが、もっと、現役社員や内定者の力を利用してもよいのではないでしょうか。