ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
クウェートってどんな国? 小さい国土ながら、原油産出量は世界有数
クウェートは、中東のペルシャ湾北西にある面積の小さな国で、北から西はイラクに、南はサウジアラビアに囲まれた首長国です。東はペルシャ湾に面しています。
面積は約1.8万㎢で、これは四国よりもやや狭い大きさほどです。砂漠が多く、植生も乏しい土地がほとんどです。
18世紀にアラビア半島内陸部から移住した遊牧民が定着しました。
20世紀にイギリスの保護領となり、1938年には現在でも世界有数の産出量を維持しているブルガン油田が発見されました。第二次世界大戦後、1961年に独立しています。
オイルマネーに支えられた高福祉国家
1990年にイラクによる侵攻でクウェートが制圧されると、多国籍軍が派遣されて湾岸戦争に発展しました。その結果、イラクはクウェートの主権を認めましたが、イラクの侵攻にはクウェートの石油収入を狙う思惑があったといわれます。
石油の埋蔵量、生産量とも世界有数で、「石油に浮かぶ国」といわれるほど石油に依存した経済発展を進めてきました。輸出額の約9割を石油及び石油製品、天然ガスが占めています。
国民の9割以上が公務員であり、教育や医療が無償であることなど社会福祉は充実しており生活水準も高い国ですが、一方では、労働力は人口の3分の2を占める外国人労働者に依存しています。
石油収入を海外投資に向けることによる金融立国を目指しています。さらに、きわめて低い食料自給率向上のために、農業開発にも力を入れるなど産業の多角化を進めているところです。
クウェート国
面積:1.8万㎢ 首都:クウェート
人口:303.2万 通貨:クウェート=ディナール
言語:アラビア語(公用語)、英語
宗教:イスラーム(国教)74.6%、キリスト教18.2%
隣接:イラク、サウジアラビア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)