スシローは、数量を一切表示することなく「売切御免」と表示をしていた。しかし公取委は、少なくとも「日を超えての売切御免は違反である」ことを指摘しているのだ。

 ただし、今回は「一日中販売されていなかった店舗だけ」が公表されたのであって、終日ではなく「午前中に完売」「数時間だけしか販売していなかった」というように、限定販売されていた店もあるだろう。

 実際の販売数量が公表されていないので、売り切れがいつ起こったのかは判断しようがないが、「朝早く行ったのになかった」「午前中に行ったのに売り切れていた」といったことも起きていたかもしれない。

公取委がスシローを
摘発した2つの意味

 公取委が、スシローのおとり広告を摘発した意味は二つある。

 一つは、飲食店業界および物販業界への警鐘である。最近は、消費者の購買意欲をかき立てすぎているような「あおり広告」が多くなっている。公取委は、今回の違反事例では「広告と実態がかい離しないこと」「安易に『売切御免』という表示を使わないこと」を警告している。

 また、スーパーマーケットのような小売店だけでなく「飲食店業界も監視・摘発するぞ」と忠告をしているのだ。

 そしてもう一つが、消費者への注意喚起である。スシローのようなキャンペーン広告は、どの業界でも頻繁に見られる。そのとき、消費者が「これって変だよな?」「裏切られた感じがする」といった感覚を持ったときは、公取委や消費者庁にもどんどん通報してくださいとPRしているのだ。

 公取委が記者会見で述べているが、実際、今回の件では、消費者からの苦情がスシローには多数届いていたようである。

 景品表示法は、一般消費者の利益を守ることと同様、正直に商売をしている事業者を守ることも目的である。そういう意味では、今回のスシロー摘発は、消費者にも事業者にも大きなインパクトを与えたといえるだろう。