日本ボクシング連盟・山根明前会長の「独裁体制」とずさんな運営状況が内部告発され、国民的関心事となったのは2018年夏。山根前会長辞任の後を受けて内田貞信会長が就任、新体制になって3年半が過ぎた。この間、「日本ボクシング連盟は健全化した」との報道がある一方で、現場の指導者たちから「新体制の横暴が過ぎる。これなら山根会長のほうがよかった」との声が上がる。一体、何が起こっているのか。不和の原因は何なのか? 内田貞信会長と仲間達也専務理事に直接インタビューを求め、現状と背景を確かめた。(作家・スポーツライター 小林信也)
「不健全な組織」のレッテル
ボクシング連盟の改革は進んだか
小林信也(以下、小林) 会長に就任されて3年半になります。
内田貞信会長(以下、内田) とにかく一生懸命やってきました。ものすごいスピードで改革を進めています。十分な定款や規定もなかったので、それらの整備から始めました。
小林 定款も規定もなかったのですか?
仲間達也専務理事(以下、仲間) ガバナンスコードに適合するような、そして公益化の申請を提出するに足るような定款や規定が整備されていなかった、という意味ですね。
小林 公益法人の認定取得を大きなテーマにしておられます。これはやはり重要ですか?
内田 日本スポーツ協会(JSPO)に加盟する全ての国内競技団体(NF)は、公益社団法人もしくは公益財団法人である必要があると定められています。幸い、当連盟のようなもともとJSPOに加盟していた団体は、2024年3月31日まで猶予期間が認められていますが、早い段階での公益化が必要です。私たちは3年前の騒動で「不健全な組織」とレッテルを貼られていますから、公益認定を取得し、「健全な組織である」とお墨付きをいただくことには大きな価値があります。
小林 認可は下りそうですか?
内田 いい形で進んでいます。今年2月22日に追加資料を提出しました。内閣府からも、改革を評価するコメントをいただきました。公益化は目前です。
仲間 内閣府とは、公益化に向けて「加盟団体規定」すなわち、日本ボクシング連盟(日連)と各都道府県連盟との関係性を規定する規則の必要性について話し合っています。必要な規則ですが、早急な整備は都道府県連盟の負担になるため、整備内容・時期などを内閣府と協議しています。
小林 国体の隔年開催はつい最近、解消されました(※)。
内田 はい。私が会長になって掲げた2つの公約は、「公益法人化」と「国体の毎年開催の復活」です。このうち、国体の毎年開催は実現できました。国から指示された定款や規定の整備、競技人口の増加、女性の目覚ましい活躍、アンチ・ドーピング体制の整備などが評価された結果だと思います。
(※)ボクシング競技は、ガバナンス不全などを問題視され、2017年の第3期国体実施競技選定調査で、全競技団体中最下位の41位となり、「隔年開催競技」(国体では2年に1度の開催)へ降格されていた。
山根前会長のほうがよかった?
現場や地方連盟が「独裁」と感じる理由
小林 改善されたとおっしゃいますが、私のところには内田会長や現体制を激しく非難するメールや電話がかなりの頻度で寄せられます。それはなぜなのでしょう?