賢者は歴史に学ぶ!歴史入門#5Photo:Eskay Lim/EyeEm/gettyimages

グローバル化が終わる――そう予言したのは、世界最大の資産運用会社である米ブラックロックのトップである。この仰天の“予言”は、世界史を踏まえると意外と正しい。特集『賢者は歴史に学ぶ! 歴史入門』(全14回)の#5では、グローバル経済が終わりを迎える歴史的理由を追った。(ダイヤモンド編集部 杉本りうこ)

「週刊ダイヤモンド」2022年6月18日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「グローバル化は終わる」
そんなことがあり得るの?

「過去30年のグローバル化が終わる」。そう断言したのは、世界最大の資産運用会社、米ブラックロックのラリー・フィンクCEO(最高経営責任者)だ。ロシアによるウクライナ侵攻開始から約1カ月後、投資家に宛てた書簡で述べた。

 確かにグローバル経済にはほころびが目立つ。ロシアへの経済制裁で、エネルギー貿易は変調を来している。新型コロナウイルスの感染拡大と米中対立も、半導体などさまざまな物資の供給難を招いている。

 人・物・金が国境を越えて飛び交う経済のグローバル化は、一神教の神さながら、間違いないものと信じられてきた。この「神」が終わるなどあり得るのか?

 あり得る。なぜなら世界はすでに一度、グローバル経済が拡大し、そして衰退していく過程を経験しているからだ。

 それはおよそ100年前のことだ。