会社の将来像は一枚の絵に描ける
コンサルティング会社では、問題解決のための様々な手法を入社後に学びます。個別のスキルとしてはデータ分析、ヒアリングやインタビュースキル、イシューツリーなどがあり、研修でそれらを学びます。私もこれらのスキルを叩き込まれました。
一通りそれらを使いこなせるようになっていたあるプロジェクトでの出来事です。私はそのプロジェクトの一部分を任されていました。
多くのヒアリングやデータ分析を繰り返して、私なりに正しいと考えた解決策を記した報告書を作成しました。その報告書には、30ほどの解決策を記載したと記憶しています。当時のプロジェクトマネジャーは、私の報告書を見るなりこう言いました。
「会社の問題解決策が30個もある訳がないし、改善だけを繰り返していても会社の将来を描いたことにはならない。会社の将来像は、一枚の絵に描けるものだ」
そして、ペンを手に取ったプロジェクトマネジャーは、その会社の全体像をホワイトボードにスラスラと描き始めました。そして、私が担当していないチームの情報も含めて、7つのポイントに整理したのです。
コンサルティング経験が少なかった私は、ヒアリング対象者から聞いた個別の情報や現状にもとづいた断片的な改善提案しか描けていませんでした。
しかし、そのプロジェクトマネジャーはゼロベースで、その会社の将来像をホワイトボードに描いていきました。そこには現状の課題や競争環境に加えて、そこから導かれるその会社の10年後の姿まで描かれていました。その図は、クライアントへの最終報告書でもそのまま使われました。