芝山:「あの人はコミュ力がある」と言われるような人ほど、「中身のある話、みんながウケるような話ばかりしなくていい」という雰囲気を知らず知らずのうちにつくってくれている。誰もが発言しやすい空気づくりがうまい。そんな人が一人いると場が盛り上がるから、「この人、話しやすいな」「あの人がいると楽しい」と思ってもらいやすく、結果、職場でもプライベートでも人間関係がうまくいく。本当は、「お仕事はなにをされているんですか?」と突っ込んだ話を聞く前に、

・なんか今日、肌カッサカサなんだけど
・ちょっと見てくださいよ! ここ、電波1本しか立ってない!
・あっ、見て、猫がいる

 この程度の会話でいいんですよ。

──言われてみれば、誰とでも仲良くできるような人ほど、こういう何気ない会話をよくしているなと思います。でも、私たちも普段、家族や親しい人とはこういうくだらない話をしていますよね。

芝山:そうそう、そこなんですよ。家族や友人としているような「中身のない会話」をすればいいんです。初対面の人としていいの? と思ってしまうかもしれませんが、結局、「背伸びしない、ありのままの自分」を出したほうが、打ち解けやすいんです。無理して自分以上に見せようとしない、そのままの自分の姿を、人は案外受け入れてくれるんだな、と理解しはじめてから、僕も人間関係がどんどん円滑になっていった気がします。

【気まずい沈黙が一瞬でなくなる!】「会話上手」になれるたった1つの習慣

「完成度の低い発言」ができる人ほど重宝される

芝山:じつは、この会話のポイントはテレビ業界でもよく言われているようで、たとえば、平成ノブシコブシの吉村さんは「吉村が一緒だとやりやすい」と高い評価を得ています。その理由の一つも、吉村さんが会話のハードルを下げてくれるからだと言われています。

 吉村さんは、番組の冒頭で、どうでもいい言葉をいきなり大声で叫んだりする。でも、そういう「完成度10点」くらいの発言をしてくれる人がいると、まわりも20点、30点の発言をどんどんできるようになり、会話が活性化していくんです。「うまく話すこと」にばかり目を向けるのではなく、「相手に気持ちよく話してもらうために、まず自分が話す」。そういうサービス精神を意識できる人こそ、いろいろな場面で重宝されるのだと思います。

──「失敗して笑われるんじゃないか」と不安になると、誰も発言できなくなりますもんね。会議などでも生かせそうなテクニックですね!

 人見知りで悩んでいる人なら、くだらない話でいいので、自分がまず話題を投げかける勇気を持ってみてほしいです。会話というのは、ちょっとしたコツでぐんと楽になります。でも、実践しないことには何も変わりません。今回の本は、「人見知りしてしまう」ような悩みがある人にこそ読んでもらいたいと思いながらまとめたので、ぜひいろいろと試して、会話を楽しくする足掛かりにしてほしいですね。

第2回へ続く

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