稚魚の不漁
燃料代、餌代の高騰が値上げの要因に

 うなぎが高くなっている理由を理解するために、うなぎがどのようにして生産されるかを、先に説明しましょう。

 まず、国内に流通しているうなぎは、ほぼ養殖によるものです。うなぎの養殖(養鰻)は、冬から春にかけて稚魚のシラスウナギを確保するところから始まります。養鰻事業者は、その稚魚を購入して池に入れ、1年~2年うなぎを育てます。

 このとき、当然ながら餌が必要になります。加えて、うなぎは温かい水温で早く育つため、冬場を中心にボイラーが使用されます。こうして育ったうなぎが出荷され、飲食店や鮮魚店、加工業者の元へ届き、かば焼きがつくられるのです。

 このような養鰻の工程で、特段コストが掛かるポイントがいくつかあります。それは、(1)シラスウナギの仕入れ、(2)餌代、(3)ボイラーの燃料費などですが、これらが軒並み高騰しているということが、うなぎの値上がりを招いている要因です。

 まず、(1)シラスウナギの仕入れについて、今年はシラスウナギの不漁が各地で伝えられていました。ここ2年ほどは比較的豊漁が続いていたため、育ちきった今年のうなぎ自体の供給量に直接的な影響を及ぼすわけではないのですが、今後の供給減の見通しが、価格を押し上げる一因になっていると見られます。

 また、(2)餌代、(3)ボイラーの燃料費に関しては、昨今の円安やウクライナ危機の影響もあり、価格が高騰しています。

 まとめると、生産コストが上昇しており、その価格の落ち着く見通しが立たないことが、うなぎの値段を押し上げているといえるのです。

 このような状況の中ですが、せっかくの土用の丑の日。おいしいうなぎを楽しみたいですよね。

 ここからは、多くの人がうなぎを購入する食料品売場で購入できるうなぎを、ちょっとした工夫でお得においしく食べる方法をご紹介していきます。