鹿児島県は、同調査による持続指標である、「生活満足度」「愛着度」「定住意欲度」においても、前年より大幅に上昇している。

「生活満足度」は18位から6位(68.6点)、「愛着度」が5位から3位(82.4点)、「定住意欲度」は17位から7位(76.6点)とアップし、いずれも高い評価を得られた。

 田中章雄・ブランド総合研究所社長は、「上位に九州地方の県が多くランクインしたのは、鹿児島県の奄美大島が世界自然遺産に登録されたり、長崎県の西九州新幹線(長崎新幹線)が開通間近であったり、明るい話題が多いから。鹿児島県が2位へと大躍進したのは世界遺産登録で、地元の人たちが鹿児島県の魅力を改めて見直したということではないだろうか」と指摘する。

 沖縄県は、2022年年5月に本土復帰50周年を迎えた。この大きな節目を契機として、自然や文化などの魅力を住民が実感している。このような背景もあり、2年連続1位になったとも考えられる。

昨年上位の都道府県がランクダウン
コロナ禍が影響している?

 一方で今年の特徴は、昨年上位だった都道府県が軒並みランクダウンしていることだ。昨年4位の山梨県は23位(70.0点)へ、北海道は8位から25位(69.3点)へ、京都府は9位から32位(68.6点)へ、長崎県は6位から同率32位(68.6点)へ、熊本県は3位から35位(68.4点)へとダウンした。

 このように、観光地のランクダウンが目立っていることがわかる。

 ただし、順位は下がったとはいえ、「幸福度」の47都道府県平均は昨年の69.2点から70.1点へとわずかながら増加している。

「全く幸せではない」は4.1%、「あまり幸せではない」は7.9%で、計12.0%が「幸せではない」と回答しているが、これは、昨年の計13.8%より1.8ポイントも減っている。

「調査時点(2022年5月)では、長期化していたコロナ禍の影響がようやく収まりつつあった。生活面や環境面にも活気や街のにぎわいが戻り始めていたことから、『幸福』という心情的なところにもプラスに働いた。そのため、47都道府県の結果は前年より少し高まったようだ」と田中社長。

 7月になり、新型コロナウイルス感染者数が増加している。コロナ禍において先の見えない状況が続くことにより、今後「幸福度」にどのような影響がもたらされるのだろうか。

(フリーライター 西嶋治美)