運動にも最適な時間帯があるようだ。しかも性差つきで。
米スキッドモア・カレッジの研究者は、30人の女性(平均体格指数24、平均年齢42歳)と26人の男性(同25.5、同45歳)を、06~08時に運動する群(朝活群)と、18時半~20時半に運動する群(夕活群)とに割り付け、コーチ指導の下、同大で開発した運動と食事のプログラムを12週間実行した。
運動プログラムは「RISE」と呼ばれるもので、(1)R:レジスタンス運動(筋トレ)、(2)I:インターバル運動(全力疾走と休息を交互にとる)、(3)S:ストレッチ/ヨガ/ピラティス、(4)E:有酸素運動の四つをそれぞれ週1日、合計4回/週行う。有酸素運動を除き、全て1時間以内で実施された。また1週間のうち水曜、土曜、日曜は休息日とした。ちなみに56人中9人が運動プログラムについていけず、脱落している。
食事は体重1kg当たり1.1~1.8g/日のタンパク質がとれるメニューが与えられた。朝活群は運動後に朝食をとり、その後4時間ごとに3回食事をする。夕活群は運動前に4時間ごとに3食を済ませ、運動後に夜食をとった。
参加者は登録時と12週間後に、持久力や筋力など包括的な運動能力と、血圧や脂質値、体脂肪の分布などの健康指標を評価された。
その結果、全ての参加者で全身の筋力と運動能力、そして健康指標が改善。時間帯で比較すると、女性の朝活群は総脂肪量と腹部の脂肪量、血圧値がより低下し、下半身の筋力が増加した。夕活群の女性は上半身の筋力がアップし、持久力と気分がより改善される傾向があった。男性は夕活群で血圧値と疲労感の改善を認めたが、時間帯で明確な差はつかなかった。
研究者は「おなかをへこませ血圧を下げると同時に脚を鍛えたい女性は朝活を、持久力を高め、抑うつ気分を改善したいなら夕活がお勧め」としている。
現実には、朝活も夕活も仕事と家事のスケジュール次第だ。まとまった運動時間をとるのは難しい。それなら、力仕事や負荷の高い家事に集中する時間帯を決めておくといいかもしれない。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)