今年のマネー運用で最も重要なポイントは米国がいつ金融緩和政策の「出口」への動きを見せるかだ。日本株を中心に考えるとしても、最重要ポイントはここだ。
昨年、「急落に対するリバウンドがあるはずだ」という想定は、おおかたにとって、実体経済と株価の両方に関して可能だっただろう。このリバウンドが一巡した後を支えているのは、FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめとする世界の中央銀行による流動性の供給だ。特に米ドルの短期金利がゼロ%近辺にあることの影響は大きく、低コストな資金が、新興国の株式や不動産、あるいは金を筆頭とする商品などに投資されており、一種のミニ・バブル的なブームが小規模ながらほうぼうに起こっている。
中国をはじめ新興国の経済は順調に回復しており、これが日本の生産の回復をも後押ししている。新規国債の発行上限額にこだわる民主党政権の経済政策運営には心配もあるが、日本の経済も現状を出発点とすると、今年はプラス成長になる公算が大きい。日本の経済も株式市場も世界の中でのプレゼンスを低下させつつあるが、外国が好調であればプラスの効果が表れるのが自然だ。
米国をはじめとする先進国の金融緩和の効果が、新興国など他国に漏出していることは、各国の政策当局ですでに認識されているようだ。
しかし、FRBは米国内の雇用の回復に明確な証拠を確認しなければ、金融緩和の「出口」は明示できないだろうし、政策金利の引き上げはさらにその後になるだろう。そして、米国のガイトナー財務長官は、12月23日のインタビューで雇用の回復は春以降となる公算が大きいとの認識を示した。
こうした状況で今年のマネー運用はどう考えたらいいだろうか。