低学年からの中学受験塾への通塾については、SNSでも肯定派、否定派のさまざまな意見が展開されている。それだけ中学受験家庭にとって関心が高いわけだが、実際のところ中学受験塾側はどう考えているのか。特集『中学受験に勝つ! 最強の小学校低学年の教育』(全7回)の#5では、低学年講座の内容から、伸びる生徒の特徴、気になる「入塾時期による難関校合格率の違い」までを中学受験塾に聞いた。塾により低学年のプログラムが違うので、ぜひ参考にしてほしい。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
中学受験の激化を背景に
低学年からの通塾が増加
「御三家合格には低学年からの通塾が有利」「低学年からの通塾はマイナスが大きい」――。
低学年からの中学受験塾への通塾については、雑誌やSNSでも賛成派、否定派のさまざまな意見が展開されている。中学受験を意識する家庭にとって、いつから塾通いをスタートさせるかは重要な問題だからだ。
SAPIXの小学1年生クラスが9割以上の校舎で募集停止(7月4日時点)となるなど、入塾時期が低年齢化している。その結果、SAPIXの場合は「席取り」目的で低学年から通塾させる家庭もいるという。また、高学年の入塾テストは難易度が上がるという、現実問題もある。
早稲田アカデミーの決算説明資料を見ても、小学1年生の在籍者数は前年比79%増。「コロナ禍で私立中学に対する関心が高まっている。低学年の保護者からは、従来以上の真剣さを感じています」(早稲田アカデミーの竹中孝二教務本部長)。
一方で、中学受験の専門家の中にも早期の塾通いは効果的ではないという声が目立つ。「勉強嫌いを生み出す」「低学年の学びは中学受験と直結していない」など批判の理由はさまざまである。
どの塾も低学年のうちは、勉強一辺倒を推奨してない。共通しているのは、低学年の学びは「勉強が好き」になって、「普段の日常を学びにつなげて、自分で考える」(日能研)という姿勢を身に付けてほしいということだ。
また、エルカミノの村上綾一代表は、低学年の保護者会では「よく運動して、風邪をひかない頑丈な子に」と伝えるという。高学年で失速するパターンに「風邪をひいて1、2週間勉強習慣が崩れて、そこからガタガタになる」というケースがあるからだ。「子どもに合った最善の選択をしてあげてほしい」(SAPIXの広野雅明小学部教育事業本部事業本部長)という趣旨の声も多く聞かれた。
とはいえ、塾によって低学年向けコースの位置付けやプログラムはさまざまである。
そこでダイヤモンド編集部は、低学年からを開講しているSAPIX、日能研、早稲田アカデミー、エルカミノの代表や本部長などキーマンにインタビュー。低学年から通って伸びる子の特徴、授業で重視していること、取り組むべき家庭学習の内容や量、さらには「難関校合格と低学年からの通塾との関連」についても聞いた。通塾を検討している家庭はぜひ参考にしてほしい。