小学校の英語必修化から2年。低学年から英語を習わせる家庭が急激に増えている。英語を選択できる中学入試の数も右肩上がりで、英語学童に通わせる家庭も一般的になっている。グローバル人材になってほしいという親の願いは切実だが、取り組み方を間違えると苦手意識を植え付けるケースも。特集『中学受験に勝つ! 最強の小学校低学年の教育』(全7回)の#6では、実際に低学年から英語を学ばせている家庭や、人気の4技能英語塾の代表に取り組み方のコツを聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
小学生の英検受験者が増加
海外大進学も選択肢に
「小学校2年生の娘が英検3級に合格しました」――。
うれしそうに語るのはSNS(会員制交流サイト)で教育情報を発信するわさび氏だ。小学校1年生の秋に「実用英語技能検定」(以下、英検)5級を取得してから4級、3級と1年以内に見事に合格したという。
実は近年、中学受験の過熱化と同時に、小学校低学年から英語を学ばせる家庭が増えている。公文式やピアノ、水泳やサッカーと同様に習い事の定番として定着したといっていいだろう。下図のように小学生の英検受験者も増加している。
英語熱の背景は小学校で英語が本格導入されたこと、英語選択入試を実施する中学入試の増加、日本の相対的な地位低下などさまざまだ。親世代が実社会において英語が必須だと実感していることも大きいだろう。
英語塾キャタルの三石郷史代表は慶應義塾大学に入学後、帰国生との差を実感した。
「群馬では英語が得意な高校生だったはずなのに、帰国生同士の会話が分からない。何とか投資銀行に入社した後も、米国から来た上司と英語で雑談できる帰国生が重宝されて、海外の大学院に留学していった。その格差を埋めるような教え方をしていきたい」(三石氏)
近年は国内の難関大学進学にとどまらず、海外大学への進学を見据えて早い段階から英語に触れさせたいという家庭も増えている。中学受験において、海外大進学に実績のある私立中学は、偏差値が上昇中の学校も目立つ。
ダイヤモンド編集部も含め、高校別の大学合格者ランキングの特集時に、東京大学や医学部、早稲田大学、慶應大などに加えて海外大学合格者も掲載することが一般的になった。国内大学入試の英語も難化しており(本特集#4『入塾待ち続出の小学生英語塾「J PREP Kids」、元イェール大助教授の代表が明かす英語学習法』参照)、拡大する推薦入試において、英語資格が重要視される流れも今後はさらに加速しそうだ。
次ページではキャタル、エベレストなど注目の英語塾や、共働き家庭に人気の英語学童保育Kids Duoなどのキーマンが小学生の英語学習について解説。中学入試における「英語(選択)入試」の今後の予測や求められる英検のレベルも紹介しながら、小学生英語の最先端をお届けする。