「グリース」「ザナドゥ」など多くの映画に出演
男性歌手とのデュエットでも数多くのヒット

 女優としては、ジョン・トラボルタと共演したミュージカル映画「グリース」(1978年)をはじめ、「ザナドゥ」(1980年)など多くの映画に出演し、主題歌を歌った。

 また、男性歌手とのデュエットでも数多くのヒット作を出している。たとえば、アンディ・ギブとのデュエット「愛は微笑みの中に」(1979年)は日本でもずいぶん売れた。アンディ・ギブもイギリスからオーストラリアへ移住したギブ・ファミリーの一員で、兄3人は有名なビージーズの3兄弟である。

「愛は微笑みの中に」は長兄バリー・ギブの作詞作曲による作品だ。これも原題は「Rest Your Love On Me」だから、「愛をわたしに」といった意味で、「微笑み」は創作だ。けれど、いかにもアンディ・ギブとオリビアの二人が漂わせる空気感に合っている(もっとも原曲は歌唱もビージーズだ)。

 同じイギリス系オーストラリア人といってもいいビージーズのギブ3兄弟と末弟アンディの4人のうち3人は早世し、長兄バリー・ギブだけが現在も音楽活動を続けている。

【追悼】歌手オリビア・ニュートン・ジョン、その魅力と「旭日小綬章」授与の功績とは「バリー・ギブ/グリーンフィールズ:ザ・ギブ・ブラザーズ・ソングブックVol.1」(ユニバーサル)にはオリビアの最晩年の録音が収録されている

 バリー・ギブは2021年初めに米キャピトル・レコード(ユニバーサルミュージックグループ)からコラボレーション・アルバムを発売している。筆者は昨年、たまたま国内盤を購入していた。ビージーズの作品11曲を、バリーが13人のアーティストと新しいアレンジで歌ったアルバムだ。アルバムタイトルは「バリー・ギブ グリーンフィールズ:ザ・ギブ・ブラザーズ・ソングブックVol.1」という。

 この中で、「Rest Your Love On Me」をオリビアとバリーが歌う。おそらくこの歌唱が彼女の最晩年の録音になるのだろう。もちろんアンディ・ギブによる男性パートをバリーが歌う。かつてのさわやかな歌唱よりも艶を増した歌声で、あらためて聞き入ってしまった(このアルバムでは「愛は微笑みの中で」という邦題は使用していない)。