東方神起のチャンミンも、インスタで本を紹介しているが、そのうちの一冊が『世界でいちばん弱い妖怪』(キム・ドンシク著/吉川凪訳/小学館)。18編のショートショートがおさめられたSF短編集だ。担当編集者の柏原航輔さんはこう話す。

【世界でいちばん弱い妖怪】「世界でいちばん弱い妖怪」「プルスマ、プルスマナス」など18編のショートショートが収録【世界でいちばん弱い妖怪】「世界でいちばん弱い妖怪」「プルスマ、プルスマナス」など18編のショートショートが収録。(キム・ドンシク著/吉川凪訳/小学館)

「クスッと笑いながら油断していると、心底ゾクッとする瞬間がある。ちょっとした表現にも皮肉がこめられていて、それは著者の経歴も大いに関係していると思います」

 著者のキム・ドンシクは、中学1年で学校をやめ、職を転々としながらソウルの鋳物工場に流れ着いた。工場勤務が10年を経た頃、ネット掲示板<恐怖>に、退屈しのぎで小説を投稿した。それが話題を集め、17年にデビューしたという、異色の経歴の持ち主だ。

「韓国文学の奥深さや、得体の知れなさを改めて実感できると思います」(柏原さん)

日韓でベストセラーに

【あの人ひとりがこの世のすべてだった頃】韓国ドラマでも引用されることの多い詩人ナ・テジュ。日本では3冊目の詩集になる。(ナ・テジュ著/藤田麗子訳/KADOKAWA)【あの人ひとりがこの世のすべてだった頃】韓国ドラマでも引用されることの多い詩人ナ・テジュ。日本では3冊目の詩集になる。(ナ・テジュ著/藤田麗子訳/KADOKAWA)

 韓国は詩を大事にする国と言われている。その中でも、詩人のナ・テジュは、パク・ボゴム主演のドラマ「ボーイフレンド」で詩集が取り上げられ話題になった。『あの人ひとりがこの世のすべてだった頃』(藤田麗子訳/KADOKAWA)は日本語版の詩集の最新刊になる。

 どの詩も愛する人への愛情を優しくストレートに表現していて、読者は作家が70歳を過ぎていると知ると驚く人も多いようだ。BTSのJHOPEがテレビ番組で朗読した「ぼくが君を」も収録されている。