【アーモンド】韓国で100万部を突破したベストセラー小説。日本でも2020年に本屋大賞翻訳小説部門で1位を受賞した【アーモンド】韓国で100万部を突破したベストセラー小説。日本でも2020年に本屋大賞翻訳小説部門で1位を受賞した。(ソン・ウォンピョン著/矢島暁子訳/祥伝社)

 小説の『アーモンド』(ソン・ウォンピョン著/矢島暁子訳/祥伝社)はすでに日本でも読んだ人が多いかもしれない。韓国で17年に出版され、この5月に100万部を突破したという。

 担当編集の中川美津帆さんも、最初に読んだときから『アーモンド』の面白さのとりこになり、日本語訳の出版に奔走した。19年に出版されると、20年に本屋大賞翻訳小説部門で1位を受賞した。

 扁桃体(アーモンド)が人より小さく、感情が理解できない16歳のユンジェ。母と祖母が目の前で襲われたときも、ただ見ているだけだった。そのユンジェが人との出会いを通して少しずつ成長していく物語。

 日本語版も、本屋大賞の発表以降ベストセラーになったが、BTSの番組の中で、RMとSUGAが読んでいたことで、さらにブレーク。現在、日本でも18万部を突破している。

読書家のRMが紹介

 最後は読書家のRMがV LIVEで紹介した『少年が来る』(ハン・ガン著/井手俊作訳/クオン)。著者のハン・ガンは16年に『菜食主義者』で、アジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞している。ハン・ガンが、光州事件を丹念に取材し、抗争に巻き込まれた学生や家族、そして活動家が何を思っていたのか、どんな風に命を失っていったのか、生存者はその後をどう生きたのかを描き出した。

【少年が来る】韓国の光州生まれの著者が、光州事件を丹念に取材し、作品を書き上げた。『菜食主義者』でマン・ブッカー国際賞を受賞【少年が来る】韓国の光州生まれの著者が、光州事件を丹念に取材し、作品を書き上げた。『菜食主義者』でマン・ブッカー国際賞を受賞。(ハン・ガン著/井手俊作訳/クオン)

 読後感は重い。けれどもウクライナで多くの人が犠牲となっている今、命が奪われることとはどういうことか、考えずにはいられなかった。

 韓国は、日本以上に受験や就職での競争が激しく、生きづらさを抱える人も多いという。アイドルもまた過酷な競争社会を生きており、彼らが手に取る本は、どこか社会を映し出し、そして生き抜くヒントをくれるものが多いように感じた。ぜひこの夏、手に取ってほしい。(編集部・大川恵実)

AERA 2022年8月15-22日合併号

AERA dot.より転載