◇ヘルプシーキングのメリット

 ヘルプシーキングには3つのメリットがある。

 1つ目は、仕事への愛着が増すことだ。チームで仕事をしているはずなのに孤独な闘いをせざるを得ないと、私たちは疲弊してしまう。一方、どんなに難しい仕事であっても「周囲を頼れる」「チームは自分の状況を理解し、サポートしてくれている」と感じられると、頑張る力が湧いてくるものだ。

 2つ目は、連携による成果が生まれることだ。山のようなタスクを前にすると、私たちは目の前の「やることリスト」の消化に追われてしまうものだ。しかし、そのタスクが完了したからといって、仕事の目的が達成できるとは限らない。無限タスクに溺れる前に、仕事の目的や方法の改善などについて話し合う機会をもてると、成果を出しやすくなる。

 3つ目は、挑戦と成長がしやすくなることだ。新しいことに挑戦するとき、「周囲のサポートを受けられる」「ひとりで完璧にやらなくてもいい」と考えられたら、一歩踏み出す勇気が出るのではないだろうか。

◇ヘルプシーキングに必要な考え方

 ヘルプシーキングを上手に使うためには、次の4つの考え方が有効だ。

 1つ目は、ヘルプシーキングとは、自分以上にチームのための行動であること。周囲に迷惑をかけると考えてしまうと、適切に助けを求められなくなる。

 2つ目は、助けを求める範囲を、仕事の分担だけと捉えないこと。ヘルプシーキングは、自分の仕事を誰かに代わってもらうことだけではない。ひとりで解決が難しいテーマに仲間を巻き込むことや、上司のサポートを受けながら新しい役割に取り組むことなども含まれる。

 3つ目は、ヘルプシーキングとは、ひとりでやる以上の成果を生み出すプロセスであること。連携や協力によって大きな成果を生み出し、自分も仲間もハッピーになることこそ、ヘルプシーキングの真のゴールである。

 4つ目は、ヘルプシーキングによって自分もチームも効果的に成長できること。メンバーをサポートすることで、チームに育成のノウハウが蓄積される。さらには、メンバーが成長すると、教える立場の人は、より重要な仕事に時間を使えるようになる。