とはいえ、「できないと思われたくない」「迷惑をかけたくない」などと、助けを求めることに抵抗感を持つ人も少なくないだろう。本書は、その考えを変えてくれるはずだ。ぜひ、自分も周りもハッピーになるヘルプシーキングを学び、実践してほしい。(矢羽野晶子)

本書の要点

(1)仕事をひとりで抱え込むと、チームの仕事を停滞させかねない。「仕事ができる人こそ、ひとりで抱え込まない」という考え方にシフトしよう。
(2)ヘルプシーキングは、自分以上に、チームのためになる。周囲との連携や協力によって、ひとりでやる以上の成果が期待でき、自分もチームも成長できる。
(3)難易度の高い「考えながら進める企画系業務」は、ひとりで進めてはならない。作成途中の企画書を見てもらう、壁打ち相手になってもらうなどして、周囲の助けを借りよう。

要約本文

◆仕事をひとりで抱え込んでいないか?
◇「全部ひとりでやらなきゃ」という病

 仕事好きの著者が仕事を嫌いになり、自信をなくしたのは、はじめての育休から復職した後のことだ。これまでと同じように頑張りたいと意欲を燃やしていたところ、大きな壁にぶつかった。

 残業はできない。今までと同じ結果を出そうとすると時間が足りず、限られた時間の中でやりくりしようとすると、これまでのような結果が出せない――。そんな状況でも苦しいと言えず、心も体も疲弊していった。そしてあるとき、ぷつりと感情の線が切れ、上司に「もうこれ以上できません」と訴えることとなったのだった。

 課題を認識していたのに、なぜ状況を打開できなかったのか。それは、ひとりで抱え込み、時間をかけて仕事をこなすやり方を変えなかったからである。この「『全部ひとりでやらなきゃ』という病」は、誰もが罹る可能性のある、風邪のような病だ。症状が軽いうちに手を打つことも、原因を理解して予防することも可能である。

 仕事をしながら歩む人生は長い。持続可能な「仕事のやり方」を身につけることで、ライフステージやキャリアが変わっていっても、「仕事を続けていける(続けたい)」と思えるはずだ。