課題は他にもある。田中が最も見直したいのは、従来型のウォーターフォールなプロジェクトデザインだ。富士フイルムBIには、一度リリースしたらそのまま数年は変わらないというサービスもまだ多い。そういったサービスは、年に数回リリースされるクラウドの新機能やアップデートなどの恩恵を享受しにくいという。また、社内にスモールスタートなプロジェクトやアジャイル開発が浸透してきている半面、品質保証など社内プロセスの一部が、いまだ理想とするスピードや柔軟性を獲得できていない。

「今後はサービス開発自体のアジリティ向上に向けて、プロジェクトデザインや予算計画なども含め、支援やナビゲートを充実させていきたいです」

 さらに田中は強調する。「クラウドはみんなが幸せになる技術。私自身、開発者がインフラ設計や管理から解放され、本来の価値創造に注力できるようになっていく姿をたくさん見てきました。一人でも多くの開発者にクラウドを利用してもらいたいです」

CCoEに必要なスキルとは?

 田中が考える、CCoEに必要な要素は何だろうか。

「熱意と巻き込み力。それと、幅広い知識と経験が求められる場面が多いです。知識は広く浅くでもいいのですが、経験は豊富な方がいいと思います。ただし、既存の経験にとらわれず、新しい技術やカルチャーを受け入れる柔軟性が必要。頭が固いと難しいと思います」

 多くを求められることになるが、最初からできる必要はない。田中は、「これらのスキルを身につけるのが苦にならない人であれば大丈夫」と言う。