CCoEの役割をまとめた下図で、田中が特に重視しているのは「クラウドメンター」だ。

CCoEには、本社部門との折衝、社外への発表や他社とのやり取りなど、コミュニケーションスキルも必要(富士フイルムBIの資料に基づいて筆者作成)CCoEには、本社部門との折衝、社外への発表や他社とのやり取りなど、コミュニケーションスキルも必要(富士フイルムBIの資料に基づいて筆者作成)
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「やはり気軽に相談しやすい雰囲気づくりが大切です。『それは私の役割ではないから』なんてできる限り言わないようにしています。素朴な疑問から、テクニカルなサポート、パートナー企業を紹介してほしいといったものまで、あらゆる相談に乗っています。そうしていくうちに、CCoEに対する信頼が高まり、クラウド活用もあるべき姿に近づいていくのではないでしょうか」

「クラウドメンター」が必要なのは、CCoE自身も同じだ。CCoEのあり方に正解はない。一度作ったら終わりではないし、そのときどきの課題やフェーズによって常に変化が求められる。クラウドの技術革新が進むほど魅力的な選択肢は増えるが、だからこそ悩みは尽きない。

 田中は、Google Cloud公式ユーザー会「Jagu’e’r(ジャガー)」のCCoE研究分科会に所属し、他社のCCoEと情報交換を続けている。「悩んだときは会社を飛び出し、社外のコミュニティで相談してみましょう。さまざまな課題と向き合ってきた同志が力になってくれるはず。もし、少人数でのCCoE運営にお悩みなら、2名でやっている私も一緒にいい方法を探っていけるかもしれません」

(文中敬称略)