また、クラウドコンピューティングの活用が当たり前となっている状況で、そこへの投資を切り詰めるという考えは、これらのCIOたちの間にはなさそうです。ただし、「新しいノートパソコンやタブレットなどの購入が見送られているほか、概念実証(試作開発の前段での検証)などへの投資は抑制される可能性がある」と、記事では指摘しています。

 一方、概念実証などではない、実際のビジネスケースが明確な技術プロジェクトの重要性は増すと考えられています。たとえばウェンディーズのCIO、ケビン・バスコーニ氏は「ファストフードチェーンの店舗での顧客体験を向上させるため、AIを活用した音声技術に投資している」と語っています。

 飲食業におけるDXについては後ほど、日本の例も詳しく考察していきます。

景気後退期にデジタル投資を
成功させるための3つの方法

 続いて「ハーバード・ビジネス・レビュー」に7月17日に掲載された「デジタルへの投資抑制は必要ない」との論考を紹介しましょう。この記事にも、「株価が下落しコスト削減が進んでもデジタル投資は続けるべきだ」と記されています。そして、こうした不安定な状況下で投資を成功させ、成長するための3つの方法を紹介しています。

1. 成功事例を研究する

 過去の事例を見ると、不景気、不況というのは長く続くものではなく、むしろその後に長い大きな成長が続くことがほとんどで、本当に価値のある企業だけが不況を乗り越えて残ります。バブルに浮いた収益のほとんどないような企業が不況によって消えることは、悪いことではありません。

2. 競合他社が縮小している間に拡大する

 競合他社がレイオフをしているときは、自社にとっては人材を採用するチャンスです。また、こういった状況では他の企業を買収しやすくなり、顧客基盤を拡大する機会にもなります。