ずば抜けて実務能力が高くなくても人より成果を上げられる人は何が違うのか。
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション・木下勝寿社長の『「悩まない人」の考え方』と『時間最短化、成果最大化の法則』がベストセラーとなっている。
木下氏は「私は実務能力がずば抜けて高いわけでない。だが①悩んでいる時間の短さと②タスク管理能力の高さだけは突出しているかもしれない」という。①と②にそれぞれ対応したのが上記2冊。そこで「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。今回は「リーダーの選抜法」をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

二流のCEOはリーダーを「加点法」で選ぶ。では一流の驚くべき抜擢法とは?Photo: Adobe Stock

あなたは「後天的リーダー」か?
「先天的リーダー」か?

 世の中には、生まれつきリーダータイプの「先天的リーダーシップ」を持った人と、そういう資質がなく、後天的に知識とスキルを身につけた「後天的リーダーシップ」を持った人がいる。

 私は圧倒的に後者のタイプだ。

 こう言うと、意外な反応をする人が多い。
 リクルート出身で、たった一人で起業。一代で時価総額1000億円の上場企業の社長というと、元々体育会系の先天的リーダータイプと思われるのだろう。

 だが、私には「先天的リーダーシップ」の素質がかけらもない
 高校時代は器械体操部に所属していたが、リーダー的存在とはかけ離れた存在だった。

 そして新卒で入ったリクルートでもリーダーシップは発揮できずにいた。

 だが、そんな私も2000年に、たった一人で起業した。
 しばらくは一人でやっていたが、徐々に業務が拡大し、社員を雇うことになった。

 その中でどうしてもリーダーシップを「スキル」として身につける必要が出てきた。

 いろいろな本を読みながら実地訓練を繰り返していくうちに、リーダーシップとは生まれつき持っているものではなく、後天的に学べるスキルだということに気がついた。

 自分にリーダーとしての才覚がないと思っている人でも、今この瞬間から本気で学べば、リーダーシップは「スキル」として体得できるのだ。

絶対にリーダーにしてはいけない人、
「10の特徴」

「後天的リーダー」の象徴である私は、これまで数多くの「後天的リーダー」を育ててきた。
 その中で気づいたことがある。

 世の中には、絶対にリーダーにしてはいけない人が確実にいるということだ。

 詳細については、絶頂から奈落の底に落ちた当社が、Z世代を原動力にしてV字回復させた実話を描いた拙著『チームX』に紹介したが、ここで「絶対にリーダーにしてはいけない10か条」を紹介したい。

 1.すぐにあきらめる
 2.できない言い訳をする
 3.危機感がない
 4.成果が出ない理由を外部要因にする
 5.やるべきことを「自分がやらなくていい理由」を見つけてやらない
 6.ミスをしても謝らない
 7.ミスをしても、バレないようにごまかす
 8.人が見ていないところでサボる
 9.うそをついてごまかす
 10.トラブルから逃げる

リーダーは「減点法」で選べ

 この中で一つでも当てはまったら、その人をリーダーにしてはならない

 一般社員から管理職(リーダー)への抜擢は「加点法」でやってはいけない。
 チームに与えるリーダーの影響力は甚大なので、上記の素質が一つでもあると、チームにとてつもない悪影響を及ぼす。

 よってリーダーの選抜法は「減点法」でやるべきだ。
 多くの社長は「加点法」でリーダーを抜擢する。

 だが、そうすると必ずチームの全体最適が崩れ、機能不全に陥る。
 私もそれで数々の痛い目に遭ってきて、最終的にリーダーは「減点法」で選ぶべきという結論に落ち着いた。

 人手不足の今こそ、リーダーの器もないのに急いでリーダーに据えてしまうと大きな災いをもたらすリスクは日増しに高まっている。

 リーダーに抜擢したいと思った人については、業務スキルだけでなく、日常の言動をじっくり見て、慎重に判断していきたい。

(本稿は『「悩まない人」の考え方――1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)