今回の調査において、「SDGsに本格的に取り組んでいる」と回答者が評価したのは、260社平均ではわずか6.7%に過ぎなかった。この結果を踏まえ、調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は、次のように指摘する。

「SDGs自体への認知度が広がっている中で、企業のSDGs活動についての認知や活動への評価は、それほど進んでいないようだ」

 その理由としては、「企業が『SDGsに取り組んでいる』と発信している内容が、これまでの企業活動を無理矢理SDGsのゴールに結びつけているような、 “うわべだけの活動”になっているケースが少なくないからではないか」と田中社長は分析する。

 積極的な取り組みをせず、表面的に自社がSDGsに取り組んでいるように見せかけることを「SDGsウォッシュ」というが、こうした姿勢は評価されないばかりでなく、えてして企業におけるイメージダウンにもつながってしまう。

11位のヤクルトが大幅ランクアップ
約75%の企業が前年よりも上昇

 前年度も調査対象であった210社のうち、約75%にあたる157社は、前年よりSDGs評価の点数が上昇している。その中で、前年からの伸びが最も大きかったのは、11位のヤクルト。

 同社を「SDGsに本格的に取り組んでいる」と評価した人は10.9%で、前年の7.4%よりも増えており、点数は14.7点から19.3点へと大幅に増加した。また、順位も58位から11位へとランクアップしている。

「ヤクルトは、2021年に発売した乳酸菌飲料『Y1000』が売り切れるほどの人気を博した。これは、乳酸菌によるストレス緩和などの効果を前面に打ち出した商品である。こうした消費者の健康につながる研究や商品が、その企業のSDGsイメージを大きく引き上げることにつながるケースも少なくない」と田中社長。

 ランキング上位の企業では、パナソニック、日本マクドナルド、アサヒビール、富士フイルム、本田技研工業、キユーピーなども大きく点数を伸ばしている。

日本マクドナルドについて、田中社長は「SDGs評価が前年の32位から8位へと大きく伸びている。同社では、性別、年代、様々な個性や背景を持つ多様な人材が、個々の強みを最大限に発揮できるように、生き生きと働ける職場環境の実現など『働く人』、特にダイバーシティ、ジェンダーにフォーカスした取り組みが評価されている」と説明する。