SDGsゴールでは「働きがいも・経済成長も」
ESGでは「商品やサービスの信頼」の評価が高い

 続いて、調査対象の企業に対して、SDGsの17のゴールの中から各社が取り組んでいると思うものを選んでもらった。260社の平均値が大きかったのは「目標8:働きがいも・経済成長も」と「目標9:産業と技術革新の基盤を作ろう」の6.2%であった。

 ちなみに、この2項目とも最も高かったのはトヨタ自動車で、それぞれ12.1%、16.0%だった。

 また、当調査では各社のESG活動への評価についての質問も設けている。その結果、260社平均では「商品やサービスが信頼できる」の評価が最も高く、9.8%だった。次いで「環境に配慮している」が7.8%。そして「社会貢献活動をしている」が7.1%となった。

「人や国の不平等をなくそう」で1位を獲得したUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)について、「チャリティディナーショーや子どもたちを支援する奨学金制度、子ども食堂へのパークの人気フードの提供など、アジア全体へつなげることを目標に未来を見据えた活動に積極的に取り組んでいる」と田中社長は評価する。

 また、「社会貢献活動をしている」で3位と評価の高いパナソニックについては、「従業員が仕事で培ったスキルを活かして、NPOやNGOなど社会課題解決に取り組む団体を支援する『プロボノ活動』を2011年より行っている」(田中社長)と解説する。

 ただし今回は、SDGsが企業評価の基準の1つとして浸透している一方、ESG項目は低下しているものが多いといった、相反する結果となった。

 この点について田中社長は、「環境、社会、ガバナンスなど、組織による持続可能性で企業価値を生み出すという理念ではなく、地球環境や社会全体の持続性につながる視点が、より消費者の共感を得られるようになってきているのではないか」と指摘する。

(フリーライター 西嶋治美)