マスク生活で「口が臭く」なりやすい理由、脳梗塞や心筋梗塞の危険性も写真はイメージです Photo:PIXTA

コロナ禍によって提言された「新しい生活様式」は、今や人々の日常となった。3密回避、手洗いうがい、そしてマスクの着用は、個々で行える基本的感染対策として多くの人が実践していることだろう。しかし、日常的にマスクを着用する行為が強い口臭を引き起こしているという。(清談社 鶉野珠子)

唾液の分泌量が減少し
汚れが歯に付着したままに

 ルカデンタルクリニック院長の小林瑠美氏は「コロナ禍ではマスクにより生理的口臭が悪化している人が増えています」と話す。

「生理的口臭の原因は、唾液の分泌量が減り、口内が乾燥することにあります。マスクを着用していると息苦しさから鼻呼吸ではなく口呼吸になりやすく、唾液が分泌されてもすぐに蒸発してしまう。マスクをしていると保湿されているイメージがあるかもしれませんが、逆なのです。口呼吸は歯の表面に空気が当たりやすくなって、唾液が汚れを洗い流しにくい状況を作り出します。こうして乾燥した汚れが歯の表面や歯間に挟まって歯石となり、生ゴミのようなニオイを発するのです」(小林氏、以下同)

 唾液には口内の汚れや歯周病菌などを洗浄する効果がある。そのため、口内の唾液量の減少は歯周病や虫歯などのリスクも高めるそうだ。

「マスクを着け続ける生活が歯周病を悪化させ、併せて口臭も強くなっている人は多いです。しかもコロナ禍において歯科治療は『飛沫感染の恐れがある』と誤解され、受診控えをする人が増えました。それにより、久しぶりに検診にきたら一気に8本もの虫歯が見つかった人もいます」

 感染拡大によって一変した生活は、人々の口内の健康を大いに脅かした。さらに、近年の記録的な猛暑も虫歯を誘発しているという。

「熱中症対策や脱水予防のために、水分と塩分を一緒に補給できるスポーツドリンクを飲む人は少なくありません。しかし、スポーツドリンクには糖分も含まれています。スポーツドリンクを飲んだ後、糖分が歯に付着したままの状態を放置すると、虫歯になる恐れもあるのです。

 そもそも、30代以降の8割、40代以降になると9割が歯周病だといわれています。マスクうんぬん以前に30代以降の人は『自分は歯周病を患っている』という前提で、口臭の強さなどを気にしましょう」