その結果、紅茶の摂取量が多い人では、全死亡リスクが低下することが明らかになった。具体的には、全死亡のリスクは、紅茶を摂取しない場合に比べて、1日に2~3杯の摂取で13%、4~5杯と6~7杯で12%、8~9杯で9%、10杯以上で11%低下していた。また、紅茶の摂取量が多い人では、全心血管疾患、虚血性心疾患、脳卒中による死亡のリスク低下が認められたが、がんや呼吸器系疾患による死亡については同じような便益は認められなかったという。これらの結果は、紅茶にミルクや砂糖を加えた場合でも、あるいは紅茶の他にコーヒーを飲んでいた場合でも、同様であったという。

 Inoue-Choi氏は、「この結果から、紅茶は、たとえたくさん摂取しても健康的な食事の一部となり得ることが考えられる。だからといって、健康のために新たに紅茶を飲み始めたり、紅茶の摂取量を増やしたりすることを勧めるものではない」と話す。

 また、Inoue-Choi氏は、この研究により紅茶の摂取と寿命の延長との因果関係が証明されたわけではないが、紅茶の中に炎症の軽減と関わる物質が含まれていることは確かだ。例えば、紅茶に含まれるカテキンなどのポリフェノール類やフラボノイド類は、酸化ストレスや炎症を低減し、それによりがんや心血管疾患などの健康問題を予防する可能性がある」と指摘。その上で、「紅茶を毎日飲む習慣がある人は、ぜひ続けてほしい」と語る。

 米サウスフロリダ大学助教授のLauri Wright氏は米国栄養・食事療法学会(AND)の広報で、「この知見により、紅茶が健康的な食事の一部になり得ることが十分に確認できた」と述べる。同氏は、「多くの慢性疾患の引き金となるのは炎症だ。紅茶には強力な抗炎症作用があるとはいえ、不健康な食事の影響を打ち消せるわけではない。ただ、抗炎症作用のある果物や野菜が豊富な健康的な食事がもたらすベネフィットを増強する効果は期待できそうだ」と話す。

 米ノースウェル・ヘルス、サンドラ・アトラス・バス心臓病院のGuy Mintz氏によると、最近の中国の研究では、紅茶ではなく緑茶のベネフィットが確認されているという。同氏は、「中国や日本などのアジア圏では、緑茶がよく飲まれている。今回の研究では、紅茶が持つベネフィットも緑茶が持つものと同等であることが示された」と述べ、「ただし、紅茶だけで血圧やコレステロールを低く維持することはできない。あくまでも医学的な治療を補助するものだ」と補足している。(HealthDay News 2022年8月30日)

https://consumer.healthday.com/8-30-could-black-tea-lengthen-your-life-span-2657911092.html

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